最新記事

中国

「アメリカが香港をどう扱うか、台湾の先例として中国は見ている」──カート・キャンベル

Biden Official Sees 'Dangerous,' 'Delicate' Balance With Taiwan After China Warns of War

2021年7月7日(水)20時09分
ジェニ・フィンク
中国に抗議する香港女性

香港の次は台湾か(写真は7月1日、中国共産党建党100周年に抗議する香港女性と警察) Lam Yik- REUTERS

<香港で起きていることには強く抗議する必要があった、しかし台湾独立を支持するわけにはいかないと、カート・キャンベルNSCインド太平洋調整官>

台湾をめぐってアメリカと中国が衝突する懸念が高まる中、バイデン政権の高官は、台湾支援との関係維持を同時に配慮する重要性を強調した。

中国の習近平国家主席は、中国が台湾の支配権を引き継ぐのは「歴史的任務」だと述べており、中国高官は敵対する国々に、中国の目標達成に介入したり、中国の力を過小評価したりするなと警告している。

米国家安全保障会議(NSC)でインド太平洋調整官を務めるカート・キャンベルはアジア・ソサエティ主催のイベントで講演し、アメリカは台湾問題の機微を十分に認識し、理解していると語った

「とてもデリケートな問題だ。危険だが、維持されなければならないバランスをとることが要求される。平和と安定の維持はアメリカにとって重要な利益であり、他の国々もそれを認識するようになっている」と、キャンベルは言った。

アメリカとしては、台湾との「力強い非公式の関係」を支持するが、台湾の独立は支持しないという立場だ。中国政府は依然として領土の一部と見なしているももの、台湾は1949年以来、独立して統治されている。

香港と台湾の関係

台湾を中国に統一することを目標としている中国政府は今年6月15日、台湾が防空識別圏を設定する空域に軍用機延べ28機を送り込んだ。台湾政府が昨年9月に台湾当局が情報を公開し始めて以降、1日では最多の数だ。

これは中国政府による台湾への圧力強化の一端とみられており、香港に対する弾圧を連想させる。米政府当局者は、中国による香港の締め付けに断固として反対し、民主化を求めて広がったデモを支持した。

キャンベルによると、香港を抑圧する中国のやり方にアメリカが不満を抱いていることを「非常に明確に」する必要があった。その理由の一つは台湾問題だ。香港の弾圧に対する海外の反応を中国政府はまちがいなく値踏みしている。台湾に対して強く出ればどうなるかを、中国に示すことができた、とキャンベルは言う。

アメリカと台湾は国交を結んでいないが、台湾にとっては最も重要な国際的な支援者であり、米国務省は中国政府に台湾に対する脅しをやめるよう強く求めてきた。

中国は、アメリカに口を出す権利はないとし、アメリカの介入を受け入れようとしない。日本の麻生太郎副総理兼財務相が、中国による台湾侵攻に際しては日米で一緒に台湾を防衛しなければならないと語ると、6日、中国外務省の趙立堅報道官は激しい言葉で非難した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

新型ミサイルのウクライナ攻撃、西側への警告とロシア

ワールド

独新財務相、財政規律改革は「緩やかで的絞ったものに

ワールド

米共和党の州知事、州投資機関に中国資産の早期売却命

ビジネス

米、ロシアのガスプロムバンクに新たな制裁 サハリン
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 5
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 6
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 7
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 10
    ウクライナ軍、ロシア領内の兵器庫攻撃に「ATACMSを…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 6
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 7
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 8
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 9
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 10
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中