米軍の撤退と共に壊走するアフガン軍部隊 支配地域広げるタリバン
Over 1,000 Afghan Troops Flee Taliban As U.S. Embarks on Final Withdrawal Stage
アフガニスタン軍幹部は国は自分たちで守れると自信を語るが(写真は7月4日、フェイザーバードの治安強化のため招集された特別部隊) Afghanistan Ministry of Defence//REUTERS
<米軍の撤退に伴い、イスラム原理主義勢力タリバンが勢力伸張。アメリカ史上最長20年間の戦争は何だったのか>
アフガ二スタン治安維持部隊の隊員1000人以上が7月4日、国境を越えてタジキスタンへの撤退を余儀なくされたと報じられた。アフガニスタン北部で勢力を拡大しているタリバンの武装集団に圧倒されたかたちだ。
こうした緊張の激化は、アメリカ軍がアフガニスタンからの撤退を進める中で起きたものだ。アメリカはこれまで、2001年9月11日に起きた同時多発テロ以降、20年近くにわたって同国で戦闘を行ってきた。
「タリバンがすべての道路を封鎖したため、これらの隊員は、国境を越える以外に行き場をなくしていた」と7月5日、アフガニスタン政府のある高官はロイター通信に対して語った。
アメリカ軍は7月2日、同軍にとってアフガニスタン最大の航空拠点だったバグラム空軍基地からの撤退を完了した。これは、すべての外国部隊の撤収完了に向けた動きの1つだ。北大西洋条約機構(NATO)もすでに部隊の引き上げを始めており、アメリカがアフガニスタンから完全撤退する前に、撤収プロセスを完了する見込みだ。
ただしアメリカ軍は、今後も約650人の兵士がアフガニスタンにとどまり、首都カブールにあるアメリカ大使館の警護や、カブール国際空港の警備支援などの任務を担う。
24時間で9地区がタリバンに奪われる
アフガニスタンの地元メディア、TOLOニュースは7月4日、同国の9つの地区がわずか24時間のうちにタリバンの手に落ちたと報じた。
アフガニスタン軍特殊作戦部隊の司令官を務めるヒバトゥラ・アリザイ少将はTOLOの取材に対し、「これまでの24時間に我々は、ラグマーン州、カーピーサ州ニジラブ郡、パルヴァーン州シーンワーリー郡、ガズニー州で作戦を遂行し、敵勢力に人的被害を与えた」と語った。
最近になって武力衝突が相次ぎ、後退を余儀なくされている状況においても、ロイターの報道によれば、アフガニスタンのアシュラフ・ガニ大統領は、自国の治安部隊が紛争に対処する能力を十分に備えているとの主張を変えていない。
アメリカのジョー・バイデン大統領は、2001年に発生したアメリカ同時多発テロから20年にあたる9月11日までに、アフガニスタンからアメリカ軍を撤退させるという目標を掲げている。
バイデンは6月25日、「我が国の軍隊は撤退するものの、アフガニスタンへの支援が終わるわけではない」と発言した。ホワイトハウスで行われた、ガニ大統領との会談を前にした談話だ。
アメリカ史上最長の戦いとなっているアフガニスタンでの戦闘に関して、バイデンはかねてから撤退を主張してきた。この戦闘は、アメリカ同時多発テロの黒幕とされたウサマ・ビンラディンをはじめとする国際テロ組織アルカイダの主要メンバーの行方を追う中で始まったものだ。