最新記事

副反応

J&Jのコロナワクチン、まれな自己免疫疾患発症 米FDAが警告

2021年7月13日(火)08時49分
米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)の新型コロナウイルスワクチン

米食品医薬品局(FDA)は米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)の新型コロナウイルスワクチンについて、まれな自己免疫疾患発症に関する新たな警告を発する可能性がある。写真は4月21日撮影(2021年 ロイター/Vincent West)

米食品医薬品局(FDA)は12日、米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)の新型コロナウイルスワクチンについて、接種後6週間に、まれな神経疾患の発症リスクが高まることがデータで示されたとして、警告を発した。

FDAは同社への書簡の中で、接種後に自己免疫疾患「ギラン・バレー症候群(GBS)」を発症する可能性は「非常に低い」と分類した上で、同社製ワクチンを接種した人は、脱力感やヒリヒリ感、歩行困難、顔面運動の困難といった症状が出た場合、医師の診察を受けるべきだとしている。

米国ではこれまでに約1280万人が1回接種型のJ&J製ワクチンを接種している。FDAによると、J&J製ワクチンの接種を受けた後にGBSを発症したとの暫定報告が100件あり、このうち95件が入院を必要とする重篤な症例で、死亡例も1件あった。

J&Jはこの日、GBSの発症が報告されていることについて、FDAと協議していると明らかにしていた。

ただJ&Jは、GBS発症の可能性は極めて低いとしている。

GBSは免疫システムの異常により末梢神経が障害されるまれな自己免疫疾患。バクテリア、もしくはウイルス感染後に発症することが多い。ただ、ほとんどの人は完治する。

米疾病対策センター(CDC)の発表によると、GBSを発症したのは大部分が男性で、多くが50歳以上だった。米ファイザー/独ビオンテックや米モデルナのメッセンジャーRNA(mRNA)型ワクチンを接種した人の間では予想を超えるほどのGBSの発症は確認されていない。

欧州の当局は先週、英アストラゼネカ製ワクチンについて類似の警告を出している。J&Jとアストラゼネカのワクチンはともに「ウイルスベクター」型ワクチン。

J&Jのワクチンは、非常にまれな血栓症の発症リスクも指摘されているほか生産問題にも直面しており、今回のFDAの警告はさらなる打撃となる。

同社のワクチンは1回の接種で済むことやファイザーやモデルナのワクチンよりも保存しやすいことから、供給が不足している地域での接種や接種をためらう人への接種で重要な役割を果たすと期待されていた。



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・新型コロナが重症化してしまう人に不足していた「ビタミン」の正体
・世界の引っ越したい国人気ランキング、日本は2位、1位は...



今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イスラエル首相らに逮捕状、ICC ガザでの戦争犯罪

ビジネス

米新規失業保険申請は6000件減の21.3万件、予

ワールド

ロシアがICBM発射、ウクライナ発表 初の実戦使用

ワールド

イスラエル軍、ガザ北部の民家空爆 犠牲者多数
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱が抜け落ちたサービスの行く末は?
  • 2
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッカーファンに...フセイン皇太子がインスタで披露
  • 3
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 4
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 5
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 6
    ウクライナ軍、ロシア領内の兵器庫攻撃に「ATACMSを…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    習近平を側近がカメラから守った瞬間──英スターマー…
  • 10
    若者を追い込む少子化社会、日本・韓国で強まる閉塞感
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 7
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 8
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 9
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 10
    中国富裕層の日本移住が増える訳......日本の医療制…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中