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建党100周年祝賀文芸公演、江沢民・胡錦涛等欠席させ「毛沢東と習近平」を演出

2021年7月1日(木)06時27分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)
中国共産党の旗

北京で行われた中国共産党創立100周年を祝う文芸公演(6月28日) Thomas Peter-REUTERS

6月28日北京で建党100周年祝賀文芸公演が開催されたが、習近平は「毛沢東の新中国」と「習近平の新時代」を強調するため、鄧小平亡き今、江沢民政権と胡錦涛政権のトップを欠席させた。

中国共産党100周年を祝賀する演芸大会<偉大なる道のり>

 6月28日夜、北京にある国家体育場(鳥の巣スタジアム)で「慶祝中国共産党成立100周年文芸演出」<偉大征程>(中国共産党100周年を祝賀する文芸公演<偉大なる道のり>)が開催された

舞台が始まる前に、アナウンサーが「偉大なる党が、中国人民を新しい道へと邁進させ、新時代へ奮い立って前進させるべく導いていったことを、共に祝福した」と解説したのが注目される。この祝賀大会が「習近平の新時代」を祝うためであるという位置づけが明示されたと解釈することができるからだ。

19時57分に習近平がチャイナ・セブン(中共中央政治局常務委員会7人)と王岐山国家副主席などの国家指導層を引き連れて入場すると、会場は割れんばかりの拍手と歓声に包まれ、真っ赤な服を着た2万人から成る観衆が立ち上がって赤旗を振った。そのように行動するように練習していたのではあろうが、「真っ赤っか」に燃える会場を満足げに見渡す習近平の顔がクローズアップされた。 

6月21日のコラム<中国共産党建党100周年にかける習近平――狙いは鄧小平の希薄化>でご紹介した中国共産党歴史展覧館と同じく、舞台は4つの章から構成されており、第1章は中国共産党の誕生と長征で、第2章は毛沢東による「新中国」の建国と朝鮮戦争をスタートとしたその後の発展、第3章は「鄧小平+江沢民+胡錦涛」の「過渡期の指導層」の足跡、そして第4章は習近平の「新時代」の場面だ。

第3章で、改革開放を紹介する時に、「特区」という言葉が2回も出てくるのが印象的だった。なぜなら拙著『裏切りと陰謀の中国共産党建党100年秘史 習近平 父を破滅させた鄧小平への復讐』で書いたように、改革開放のきっかけを作ったのは習近平の父・習仲勲で、習仲勲は16年間の牢獄生活を終えたあと、広東省に派遣されて、深センを「経済特区」に持って行った人物だ。「一歩先に進めさせてくれ」(先行先試)と当時の国家のトップにいた華国鋒に懇願した。

だから、こんなところで、こっそりと、「鄧小平への復讐」をしていると、思わずニヤリとしてしまった。

第4章で貧困脱出を最初に持ってきたのは、鄧小平が唱えた先富論(先に富める者から富)によって貧富の格差が生じて、これでは社会主義国家ではなくなるという現実を、何としても、この自分の手で是正してやるという、これもやはり、「習近平の鄧小平に対する復讐の一つの形」とみなすことができよう。

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