ミャンマーの翡翠利権は再び軍に握られた<報告>
Myanmar Military now Controlling Country's Lucrative Jade Market, Profits
世界で最も埋蔵量が多いカチン州の鉱山で産出された翡翠 Soe Zeya Tun-REUTERS
<ミャンマーに莫大な富をもたらし、腐敗の温床でもある翡翠は軍の手に。しかし産地では採掘を争う戦闘が再開、無法地帯と化している>
国際人権団体グローバル・ウィットネスが発表した最新の報告書によれば、ミャンマーの軍部は今や、富の源泉たる翡翠市場とその利益を完全に支配している。
軍事政権は現在、翡翠の採掘に関する決定権を持っており、採掘許可を与える立場にあると、報告書の共著者であるキール・ディーツはAP通信に語った。富と紛争をもたらしてきた翡翠の採掘を完全に支配したことで、軍は権力を確固たるものにするための資金と影響力を手にした、と報告書は述べている。
グローバル・ウィットネスをはじめ人権団体や環境保護団体は、ミャンマー軍に対する制裁の強化を求めている。
「ミャンマーの天然資源の輸入を禁止し、それに伴う金銭の取引を停止して、ミャンマー国軍が国の天然資源を売却して受け取る資金の量を制限するかどうかは、国際社会に任されている」と、報告書は指摘した。
AP通信によると、アメリカとイギリスは以前、ミャンマー宝石公社および軍幹部とつながりのある企業に制裁を課していた。だが、ミャンマーから輸出される翡翠の大半は、違法な手段で中国に渡っている。
以下に、AP通信による報道を引用する。
法の支配が崩壊
ミャンマー最北端のカチン州は、中国と国境を接する翡翠の名産地だが、同州ハパカントの翡翠鉱山周辺で戦闘が再開したことで中国国境地域がますます不安定になっている、とグローバル・ウィットネスは報告書の中で述べた。
国軍と民族ゲリラはカチン州で何年も戦いを続けてきた。だが同時に、世界で最も豊かな翡翠鉱床の採掘による利益を分け合うために手を組んでいた。そのため、公共の利益に投資される国家資産をもたらすはずの翡翠産業は、腐敗の温床となった。
グローバル・ウィットネスは、腐敗による損失を年数千万ドルと見積もっている。
鉱山周辺は事実上の停戦状態にあったが、2月1日に国軍が政権を握ったクーデターのせいで、停戦が中断され、翡翠の生産地帯で戦闘が再開された、とグローバル・ウィットネスおよび他の専門家は指摘している。
「法の支配が完全に崩壊しており、非常に不安定な状況だ」と、ディーツはAP通信に語った。
2016年に政権に就いたアウンサンスーチー率いる文民政府は、鉱業界の腐敗の一掃に努めたが、あまりはかどらなかった。政府は翡翠の採掘許可の発行や更新を停止した。新しい法律で採掘許可を最長3年に制限したことで、かえって急ぎの違法採掘を促した。