ワクチン接種進む欧州で高まる同調圧力 拒否した者が解雇される事例も
ワクチン接種拒否による解雇は、合法なのか?
フォンターナさんらを解雇したホテル側は取材に対し「コロナ禍の始まり以来、ゲストとスタッフを最も適切な方法で守ることに努めてきました。予防接種は、そのうちの一策です。解雇には常に多面的な理由がありますが、非常事態には経済的な理由も含まれます」とコメントしている(ツヴァンツィヒミヌーテン)。
同紙は、弁護士の意見も聞いている。アンドレ・クーン弁護士いわく、雇用者が、被雇用者が予防接種をしたくないからと解雇したり、即座にほかの部署に異動させたりする場合、個々のケースにはよるものの、裁判官は、そのような解雇が不当なものかどうかを考慮しなくてはいけないという。
スイスで高齢者の介護を仕事にしている人の中には、フォンターナさんたちのように予防接種をしない人たちは確かにいる。
筆者が通う美容院の美容師は、ある高齢者施設で定期的に散髪をしており、昨年末に施設から優先的に接種できるがどうするかと聞かれ、すでに今年初めに予防接種を済ませたという。そこの介護スタッフも接種を薦められたが、数人はずっと拒否しているそうだ。また、過去の記事「日本と雲泥の差。「神が守る」と言う人も現れはじめたヨーロッパの不安」でふれたように筆者の親戚の1人は高齢者の訪問介護をしているが、接種はしないと決めている。
女優も、予防接種拒否で役を下ろされた
似たようなケースは、ほかにも起きている。ARD(ドイツ公共放送連盟)で放映中の犯罪系のテレビドラマに出演中の女優エヴァ・ヘルツィヒさん(40代)が、予防接種を拒否したことを理由に降板になった。先日、独フォークス誌ほか、多数のメディアが報じた。番組制作には常に50人ほどのスタッフがいるといい、制作会社はスタッフに対する責任があるとしている。
ヘルツィヒさんが接種しないのは、ワクチンは副反応と長期的な影響を起こすかもしれず、疑問をもっているからだという。2人の子供をパートナーなしで育てているヘルツィヒさんにとって収入を失うことは痛手で、迷った末の決断だったそうだ。