世界の牛肉価格が高騰、ステーキ好きな消費者悲鳴 背景に中国の輸入急増
中国で食べられる肉は長く豚肉が中心だったが、中間所得層が拡大するにつれ牛肉の消費も増えている。
ラボバンクのシニアアナリスト、パン・チェンジュン氏は「牛肉はかつて、レストランなど主に家の外で食べるものだった。だが次第に家庭での料理でも広く使われるようになった」と語る。
中国農業農村省によると、同国では4月末時点で牛肉価格が前年同期比4.4%上昇している半面、豚肉価格は27.9%下落している。
天文学的な価格
米カリフォルニア州に住む退役軍人のダリン・クロスさん(55)は、ウォルマートで0.9キロ入りの牛ひき肉が8ドルから10ドルに値上がりしているのにショックを受けて以来、野菜を多く食べるようになった。
「決まった収入しかない私たちにとって、たった数週間でこれだけ跳ね上がるのは痛い。今後もこの状態が続くのではないかと怖くなる」
ニールセンIQのデータによると、4月の米牛肉価格は前月比で5%、前年同月比では約10%の上昇だった。
ニューオーリンズ郊外に住むティナ・ハウエルさん(45)はステーキ肉のまとめ買いをやめた。生鮮食品店が安売りをしなくなったからだ。
ハウエルさんは「ニューヨーク・ストリップ・ステーキ」と呼ばれる牛肉のショートロイン部位が、以前の1ポンド(約0.45キロ)当たり7ドル前後から約12ドルと、「天文学的な値段」に跳ね上がっているのを目撃した。
米国は牛の供給こそ豊富だが、食肉処理施設での人手不足や設備不足により、牛肉の生産には制約がある。
また大豆やトウモロコシなどの飼料価格が約8年ぶりの水準に上昇し、一部は消費者に転嫁されている。コロナ禍に対応した制限措置が緩和され、飲食店向けの需要が増えていることも牛肉価格の高騰につながっている。
(Agustin Geist記者 Tom Polansek記者 Ana Mano記者)
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