最新記事

医療

米FDAの諮問委員2人が辞任 アルツハイマー新薬アデュヘルム承認に抗議

2021年6月10日(木)08時48分
メリーランド州ホワイトオークのFDA本部

米食品医薬品局(FDA)がバイオジェンとエーザイが共同開発したアルツハイマー病治療薬「アデュヘルム」(一般名:アデュカヌマブ)を承認したのを受け、承認に否定的見解を示していた諮問委員会の2人の委員が抗議のために辞任した。写真はメリーランド州ホワイトオークのFDA本部で2020年8月撮影(2021年 ロイター/Andrew Kelly)

米食品医薬品局(FDA)がバイオジェンとエーザイが共同開発したアルツハイマー病治療薬「アデュヘルム」(一般名:アデュカヌマブ)を承認したのを受け、承認に否定的見解を示していた諮問委員会の2人の委員が抗議のために辞任した。

外部有識者11人で構成する諮問委は昨年11月の会合で、同治療薬の有効性を示す根拠が不足しているとして、ほぼ全会一致で承認に反対する意見を可決した。

承認に反対票を投じたワシントン大学の神経学者、ジョエル・パールマッター氏は、FDAが諮問委と追加の協議をせずに承認を決めたことを理由に8日に辞任した。

医療機関メイヨー・クリニックの神経学者、デービッド・ノップマン氏も9日に辞任。同氏は、同治療薬の臨床試験に治験責任医師として参加していたため、11月の諮問委の会合および採決への参加を見送っていた。ロイターに対し「FDAによる諮問委の意見の扱い方に非常に失望した」と語った。

FDAは7日、同治療薬を通常審査よりも短期間で承認。アデュヘルムの臨床試験ではさまざまな結果が出たが、脳内に蓄積して認知機能を低下させると考えられている有害なタンパク質「アミロイドベータ」を減少させることが示され、患者の利益につながる可能性が高いと説明した。

FDAは諮問委の個別の委員に関する事案についてはコメントしないと表明した。



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・新型コロナが重症化してしまう人に不足していた「ビタミン」の正体
・世界の引っ越したい国人気ランキング、日本は2位、1位は...



今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

原油先物は横ばい、米国の相互関税発表控え

ワールド

中国国有の東風汽車と長安汽車が経営統合協議=NYT

ワールド

米政権、「行政ミス」で移民送還 保護資格持つエルサ

ビジネス

AI導入企業、当初の混乱乗り切れば長期的な成功可能
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 2
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2人無事帰還
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 6
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 7
    「隠れたブラックホール」を見つける新手法、天文学…
  • 8
    【クイズ】アメリカの若者が「人生に求めるもの」ラ…
  • 9
    【クイズ】2025年に最も多くのお金を失った「億万長…
  • 10
    トランプが再定義するアメリカの役割...米中ロ「三極…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 3
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥーが解明される...「現代技術では不可能」
  • 4
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 5
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 6
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 7
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中