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インタビュー

山口香JOC理事「今回の五輪は危険でアンフェア(不公平)なものになる」

2021年6月8日(火)06時40分
西村カリン(仏リベラシオン紙東京特派員)

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写真はイメージです ebico-iStock.

「なぜ私たちの税金が使われなくてはいけないのか、と人々は思う」

――外国人選手の移動は原則、送迎バスで行い、外出は禁止。彼らのメンタルヘルスも心配だ。

科学的な見地に基づいて「ワクチン接種をしている人にはこのくらいの行動を認めます。未接種者には行動制限をかけます」といった事前の合意形成もなされていない。人権的な面からも本当にそれでいいのかなと思ってしまう。

食事もホテルで毎日出されるものだけ食べる。考えるだけで嫌になっちゃいますよね。

開催が迫ってきた今、すごく残念だと思うのは、もう議論する時間がないということ。昨年3月に延期が決まってから、この1年間のうちになぜ必要な議論をしなかったのか。

専門家の意見を聞いて議論をして、「こういう状況なら、こうやってできる。それなら安心だね」ということを私たちが分かっていれば、今のようにみんなが不安を感じながら「でも、きっとやるんだろうねぇ......」という感じにはならなかった。

それはオリンピックにとってもアスリートにとっても国民にとっても、不幸なことです。

日本人はオリンピックが嫌いなわけではない、私もアスリートで、オリンピックやアスリートを応援したいし楽しみたい、そして海外から来た人たちをおもてなししたい気持ちがある。それなのに、このなんとなく嫌な空気の中でみなさんに来て頂くことになる。

それは来日した人たちにも伝わると思う。日本の政府には、いかに今のやり方がオリンピックをダメにしているのか考えてもらいたい。

――学校の部活動は中止され、大勢の子供たちが行動を制限されているなかで、五輪のみ特別扱いされていると考える人もいる。今後、五輪や五輪選手に対する国民の視線が冷たくなる心配はないか。

安心・安全にオリンピックができるなら、それと同じように以前からできていたはず。例えば部活動も、オリンピックのように「こうやったら安全です」と言ってくれたらできただろう。

もっと言えば、お金をかければ何でもできます、ということ。選手のPCR検査をします、バスで送迎します――つまりそれは貴族のスポーツで、特別な人たちのものですよ。

オリンピックが、それでいいんですか? 今回はだまされたけど、次はだまされませんよ、特別な人たちのためになぜ私たちの税金が使われなくてはいけないのか、と人々は思うだろう。

五輪の経済効果がよく言われるが、IOCにとっての経済効果はあるかもしれないが、国や都市にとって長期的な効果は実証されていない。一時的なものであれば、花火大会をやったって経済効果はある。

それに今回、「平和の祭典」というのが建前だったと分かった。平和の構築には対話が必要なはずですから。

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