最新記事

中国

100年前の建党時から中国共産党に貢献してきた日本

2021年6月24日(木)12時49分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)

その上で藩漢年に岩井英一に対して「日本軍と共産党軍との間の停戦」を申し込ませている事実が、岩井英一の回想録に明記してある。

日本が敗戦した時には、毛沢東は「あともう1年長く戦ってくれればよかったのに」とこぼしたほどだ。こうして毛沢東の「日本軍の中国進攻に感謝する」という言葉が出てくるのである(拙著『毛沢東 日本軍と共謀した男』で詳述)。

日中戦争中に膨れ上がった中国共産党軍

瑞金を出発した中国共産党軍の「紅一方面軍」9万人程度は、1935年10月に延安に着いた時には7000人程度にまで減り、「紅四方面軍」は1935年5月の約8万人から1936年10月に延安に着いた時には約3万人強になっていた。紅軍の他の方面軍を合計しても合計で数万人に満たなかった。

ところが日本からの支援のお陰で、日本が敗戦した時には中国共産党軍の数は130万人にまで膨れ上がり民兵は250万人以上いると、毛沢東は1945年10月25日に言っている。日中戦争の間、日本軍と戦わずに(10%の戦力しか使わずに)戦力を温存してきた中国共産党軍は、国共内戦が始まると国民党軍を圧倒し、1949年10月1日に中華人民共和国が誕生した時には中国共産党軍(人民解放軍)は550万人にまで達していた。

毛沢東の戦略がうまかったと言えばそれまでだが、日本軍と結託して国民党軍を倒していたのだから、中華民族を裏切っていたということができる。日中戦争時代に岩井公館からせしめた情報提供料(外務省機密費=日本国民の税金!)は主として印刷費に回され、大衆を扇動する力に注がれていったと言っていいだろう。

天安門事件で中国共産党の温存を図ってあげた日本

もう、あまりに何度も繰り返し書いてきたので繰り返したくはないが、しかし、やはり言わねばなるまい。

天安門事件後の対中経済封鎖を日本が破ったのは、現在の中国の経済繁栄と中国共産党の横暴を許した点に於いて「万死に値する」と、拙著『裏切りと陰謀の中国共産党建党100年秘史 習近平 父を破滅させた鄧小平への復讐』で書いた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

台湾の頼次期総統、20日の就任式で中国との「現状維

ワールド

イスラエル軍、ガザ北部で攻勢強化 米大統領補佐官が

ワールド

アングル:トランプ氏陣営、本選敗北に備え「異議申し

ビジネス

日本製鉄副会長が来週訪米、USスチール買収で働きか
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた異常」...「極めて重要な発見」とは?

  • 3

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバいのか!?

  • 4

    存在するはずのない系外惑星「ハルラ」をめぐる謎、…

  • 5

    「円安を憂う声」は早晩消えていく

  • 6

    チャールズ英国王、自身の「不気味」な肖像画を見た…

  • 7

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 8

    中国のホテルで「麻酔」を打たれ、体を「ギプスで固…

  • 9

    時速160キロで走行...制御失ったテスラが宙を舞い、4…

  • 10

    英供与車両から巨大な黒煙...ロシアのドローンが「貴…

  • 1

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 2

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 5

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 6

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 9

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 10

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中