最新記事

中国

100年前の建党時から中国共産党に貢献してきた日本

2021年6月24日(木)12時49分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)
中国共産党建党100周年のインスタレーション

7月1日に中国共産党建党100周年を迎える Tingshu Wang-REUTERS

中国共産党の建党にソ連のコミンテルンが寄与したのは確かだが、100年の歴史を見た時に、建党から始まり今日に至るまで最も貢献したのは日本だ。1921年の第一回党大会には「赴日代表」という分類さえあったほどである。日本はひたすら中国共産党を強化するために動いている。

第一回党大会参加者10余名の中に「赴日代表」という分類があった

中国共産党の建党を意味する第一回党大会は1921年7月23日から31日まで上海で開催された。この頃はまだ蒋介石率いる国民党が統治する「中華民国」の時代だったので、国民党政府に邪魔されて資料が散り散りになり正確な日時が確認できなくなったために、1941年6月に開催した「建党20周年記念大会」で、区切りのいい「7月1日」を建党記念日とした。

第一回党大会のとき「党代表」の分類は「北京代表、上海代表、武漢代表、長沙代表、済南代表、広州代表」以外に「赴日代表」(赴日=日本留学)というのがあった。

参加者は一応「13名」となっているが、これを「11名」とする記録もある。なかなか上海にたどり着けないので、「代理」に参加してもらった人もいるため、不確定となっている。

日本人にとって興味深いのは、代理出席も含めた13名の中に、日本留学経験者が、なんと、5名もいたということだ。半分に近い者が日本に留学していたということである。

なぜ第一回党大会の約半数が日本留学経験者だったのか

では、なぜかくも多くの共産党員が日本留学経験者だったのだろうか?

それはアヘン戦争(1840-42年)や第二次アヘン戦争(アロー戦争)(1856-60年)によって、清朝は近代ヨーロッパの軍事的優位を痛感したため、洋務運動(1860年代前半 -1890年代前半)が始まって欧米留学者が増え始めたのだが、日清戦争(1894~95年)に敗北した清王朝で日本留学が一気に盛んになったからだ。

そのため孫文(孫中山)や蒋介石あるいは魯迅など数多くの知識人が日本留学を果たしている。

欧米よりも日本留学を選んだ人が多かった理由の一つには、日本を通して欧米の事情を知ることができるというのと、何よりも日本が近いという背景があった。お金も日にちも掛からない。おまけに漢字圏なので拾い読みすれば基本通じる。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ロシア、攻撃対象をエネルギーから民間施設にシフト=

ワールド

ロシア軍、ウクライナの戦闘で大規模部隊の攻撃に転換

ワールド

EXCLUSIVE-米ミサイル防衛、マスク氏のスペ

ビジネス

シティ、3カ月以内の金価格予想を3500ドルに引き
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプショック
特集:トランプショック
2025年4月22日号(4/15発売)

大規模関税発表の直後に90日間の猶予を宣言。世界経済を揺さぶるトランプの真意は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ? 1位は意外にも...!?
  • 2
    【渡航注意】今のアメリカでうっかり捕まれば、裁判もなく中米の監禁センターに送られ、間違いとわかっても帰還は望めない
  • 3
    米経済への悪影響も大きい「トランプ関税」...なぜ、アメリカ国内では批判が盛り上がらないのか?
  • 4
    【クイズ】売上高が世界1位の「半導体ベンダー」はど…
  • 5
    紅茶をこよなく愛するイギリス人の僕がティーバッグ…
  • 6
    ノーベル賞作家のハン・ガン氏が3回読んだ美学者の…
  • 7
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ…
  • 8
    トランプ関税 90日後の世界──不透明な中でも見えてき…
  • 9
    関税を擁護していたくせに...トランプの太鼓持ち・米…
  • 10
    金沢の「尹奉吉記念館」問題を考える
  • 1
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜け毛の予防にも役立つ可能性【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止するための戦い...膨れ上がった「腐敗」の実態
  • 3
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ? 1位は意外にも...!?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 6
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ…
  • 7
    パニック発作の原因とは何か?...「あなたは病気では…
  • 8
    中国はアメリカとの貿易戦争に勝てない...理由はトラ…
  • 9
    動揺を見せない習近平...貿易戦争の準備ができている…
  • 10
    「世界で最も嫌われている国」ランキングを発表...日…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 6
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 7
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 8
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えな…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中