トランプ氏「中国は世界に10兆ドル賠償すべき」 武漢ウイルス研究所起源説で
また、ファウチ氏の立場表明を電子メールで称賛していた米国立衛生研究所は、米NPOを通じて武漢のウイルス研究所に補助金を拠出していたことが判明している。ファウチ氏はこの補助金がウイルスの機能獲得実験に使われたことはないと議会で証言しているが、その根拠は示さなかった。
トランプ氏こそ元凶では、と冷ややかな反応も
このようにトランプ氏は、賠償金請求を軸に政敵批判にも話題を展開し、存在感を大いにアピールした。しかし、USAトゥデイ紙の視線は冷ややかだ。トランプ氏を「二期目の確保に熱心な不安定な大統領」だと表現し、任期中にコロナを「中国病」などと呼んだことで中国の態度を硬直化させ、結果的に世界的なパンデミックの悪化を招いた張本人だと批判する。流出説が昨年時点で陰謀論扱いに終始したのも、トランプ氏が根拠のない自説の披露を頻繁に行っていたためだ、と容赦ない。
共和党集会で演説したトランプ氏は、再出馬を否定しなかった。中国を槍玉に挙げる鮮烈なメッセージは、今後を見据えた強かな戦略の一部なのかもしれない。米ウォール・ストリート・ジャーナル紙は「フェイスブックとツイッターなどSNSから追放されたトランプ氏にとって、公の場に姿を現すことは知名度を保つための一つの方法だ」と指摘する。ツイッター、フェイスブック、インスタグラムから相次いでアカウントを凍結され、得意のSNS戦略を封じられているだけに、刺激的なスピーチで耳目を集めたいところだろう。
研究所流出説は目下再調査中だが、現在のところ何かしら決定的な証拠が公表されたわけではない。賠償金を支払うべきだとトランプ氏は主張するが、世界的な賠償請求のうねりの発端となるか、あるいは次期大統領選をにらんだアピールに終わるのか、先行きは不透明だ。
Donald Trump says 'I was right about Wuhan lab leak' | China virus | Coronavirus |World English News