最新記事

中国

コロナ張本人、「中国点火vsインド点火」の罪と罰

2021年5月7日(金)13時11分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)
中国国旗

中国の国旗 Rawpixel-REUTERS

5月1日、中共中央政法委員会ウェイボーに中国の宇宙ロケット発射とインドのコロナ犠牲者葬儀の点火の写真が並べて掲載された。あまりの非人道性に中国国内からも非難が殺到。そこには中国の驕りともろさがある。

「中国の宇宙ロケット発射点火礼賛」vs.「インドのコロナ犠牲者火葬点火嘲笑」

中国ではメーデーの日として祝福される5月1日、中国共産党中央委員会(中共中央)政法委員会が管轄する新聞ウェブサイト「長安網」のウェイボー(微博、weibo、中国版ツイッター)に「中国点火vs.印度点火」というタイトルで以下のような写真が貼り付けられて発信された。

endo20210507111601.jpg
5月1日13:24、長安網ウェイボーに掲載された「中国点火vs.インド点火」

中国は2022年までに中国が運営する宇宙ステーション「天宮」を稼働すべく早くから着々と準備を重ねてきたが(詳細は拙著『「中国製造2025」の衝撃』)、今年4月29日、大型ロケット「長征5号B」に搭載したコアモジュール「天和」の打ち上げに成功した。中国はメーデーを祝うムードとともに、習近平政権のスローガンの一つである「中華民族の偉大なる復興」を叫んでお祭りムードだった。

同じころインドでは、1日の新規コロナ感染者が40万人を超えるという悲惨な状況にあり、その数値をまともに見ることも聞くこともできないほどに心が痛んだ。まして死者の数が多過ぎて葬儀場が足りず、公園のあちこちで荼毘(だび)に付している光景など、この世のものとも思えず、中国がコロナの初期対応を誤っただけでなく情報を隠蔽したために人類が未曽有の災禍に見舞われていることへの怒りが込み上げてきた。

だというのに、そのコロナ感染を広めた張本人である中国の官側のウェイボーが、こともあろうにインドの燃え盛る火葬の火の写真と宇宙ロケットの発射の火の写真を並べて掲載するとは何ごとか!

おまけに「インドの1日の新規感染者数は40万」というフレーズにハッシュタグを付けて発信する。この憤りを表現する言葉さえ見つからない。

さすがの中国大陸のネットユーザーも、「これはいくら何でも非人道的ではないか」、「官側がやることか」、「大国の品格を傷つける」、「自分の国を礼賛するのに、他国の死者を嘲笑するような写真を並べるのは行き過ぎだ」・・・など、凄まじいバッシングが噴出し、中国のネットは炎上した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正

ワールド

イスラエル政府、ガザ停戦合意を正式承認 19日発効

ビジネス

米国株式市場=反発、トランプ氏就任控え 半導体株が

ワールド

ロシア・イラン大統領、戦略条約締結 20年協定で防
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさかの密航者」をCAが撮影...追い出すまでの攻防にSNS爆笑
  • 4
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 5
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 6
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 7
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 8
    「ウクライナに残りたい...」捕虜となった北朝鮮兵が…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    雪の中、服を脱ぎ捨て、丸見えに...ブラジルの歌姫、…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 5
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 6
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 7
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 10
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 7
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 8
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中