カール・アイカーンも参入!? ビットコイン暴落でも著名投資家は強気
この先、物価上昇とドルの価値下落が見込まれる中、低金利の債券よりインフレヘッジ手段として期待できるビットコインの方が魅力的な投資先であるというのが同氏の主張だ。ただ、投資家がすでに保有する伝統的資産を大量に売り払ってビットコインの購入資金を確保するような状況となれば規制強化を招く恐れがあるとし、暗号資産にとって「最大のリスクはその成功だ」と述べた。
米仮想通貨投資会社BKCMの創設者で最高経営責任者(CEO)のブライアン・ケリー氏もCNBCとのインタビューで、ビットコイン価格の急落は「機械的な売り」に過ぎず、従来からビットコイン購入の根拠として重視してきた制度化の進展と通貨価値下落への対策という「投資テーマは崩れていない」と話した。そのうえで、価格は引き続き上向きの軌道を描くとの見通しを示した。
ビットコイン相場は2013年や2017年などにも大きな調整に見舞われた。今回は価格の絶対値が高いために下げ幅も大きくなったが、暗号資産を取り巻く足元の環境を踏まえると、これまでと同様に一時的な下落で終わる可能性が高いというのが大方の見方だ。
テスラが背を向けようと
テスラはビットコイン決済を導入してからわずか数ヵ月で手のひらを返すようにこれを停止したが、暗号資産がどれほど投機的でリスクが大きく、ファンダメンタルズの下支えに乏しいとしても、決済手段として受け入れる企業や投資家層の広がりに伴い、実用化が進む時代の流れは止められそうにない。
そのため、ダリオ氏のように暗号資産懐疑派から支持派へと立場を転じる動きはこの先一段と増えるだろう。
著名アクティビスト投資家のカール・アイカーン氏もその1人だ。同氏はブルームバーグとの26日のインタビューでまだどの暗号資産も購入していないとしつつ、市場にマネーが溢れ、インフレやドルの価値下落に対する懸念が高まる中、こうした資産は「どのような形であれ、定着すると思う」と語り、今後「比較的大々的に」関与していく意向があることを表明した。
ジェンキンス沙智
フリーランスジャーナリスト兼翻訳家。
テキサス大学オースティン校卒業後にロイター通信に入社し、東京支局で英文記者としてテクノロジー、通信、航空、食品、小売業界などを中心に企業ニュースを担当した。2010年に退職・渡米し、フリーランスに転向。これまでに、WSJ日本版コラム「ジェンキンス沙智の米国ワーキングマザー当世事情」を執筆したほか、週刊エコノミストやロイターなどの媒体に寄稿した。現在は執筆活動に加え、大手金融機関やメディアを顧客に金融・ビジネス・経済分野の翻訳サービスを提供している。JTFほんやく検定1級翻訳士(金融・証券)。米テキサス州オースティン近郊在住、愛知県出身。
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