カール・アイカーンも参入!? ビットコイン暴落でも著名投資家は強気
ウォール街も暗号資産を無視できなくなってきた simoncarter-iStock.
<1カ月で半値になる暗号資産に、なぜ将来性があると思えるのか?>
ビットコインをはじめとする暗号資産(仮想通貨)の投資家にとって、この数週間は胃の痛む相場展開となっている。
代表的な暗号資産であるビットコインの価格がテスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)の発言や中国政府による規制強化の動きを嫌気した売りに押され、史上最高値をつけてからわずか1ヵ月余りで半値まで急落したほか、イーサリアムやドージコインなどのアルトコイン(ビットコイン以外の暗号資産)も同じく大荒れ模様となっている。
著名投資家のマーク・キューバン氏は先日、この暴落を「大いなる巻き戻し(Great Unwind)」と呼び、借り入れた資金を元手に暗号資産を購入した後、これを貸し出してさらに高い利回りを獲得してきた投資家が連鎖的なポジション解消を余儀なくされるリスクに警鐘を鳴らした。
ところが市場全体では、一部を除いて驚くほど投資家心理が悪化しておらず、強気派はわずか半年で相場を4倍に押し上げた熱量そのままに、押し目買いのチャンスを虎視淡々と狙っている。
用途が広がり制度の一部に
楽観論を支える根拠の1つは、暗号資産に働いている好循環のメカニズムだ。今年はペイパルがビットコインなどを使ってオンラインストアでの支払いができる機能を立ち上げたほか、スターバックスがビットコインでプリペイドカードにチャージできる仕組みを確立するなど、決済手段としての普及に向けた道が大きく開きつつある。
また、モルガン・スタンレーがビットコインで運用するファンドへのアクセスを提供し始めたり、ゴールドマン・サックスがビットコイン価格に連動するデリバティブ商品の取引に乗り出すなど、大手金融機関の間でも暗号資産需要を取り込む動きが広がっている。こうした動きに伴って流動性も高まっており、相場急落後もこの根本的な環境に変わりはない。
暗号資産はこれまで、一部の投資家のみが熱狂的に取引している新興資産としての色合いが強かったが、ここ数ヵ月の価格上昇や市場拡大で、すでに伝統的資産と横並びでポートフォリオへの組み入れを検討されるまでに成長している。
ヘッジファンド世界最大手ブリッジウォーター・アソシエイツの創業者で、暗号資産弱気派として知られていたレイ・ダリオ氏は今週、仮想通貨メディアのコインデスクが主催したイベントで債券よりビットコインを選好する考えを示して市場の注目を集めた。また、少なくとも昨年末時点では暗号資産に懐疑的な見方をしていたにもかかわらず、今ではビットコインを「いくらか保有している」と明らかにした。