米軍に協力したアフガニスタン人、アメリカに見捨てられタリバンに殺される危機が迫る
A Moral Obligation
先日ジーン・シャヒーン上院議員(民主党)とジョニ・アーンスト上院議員(共和党)の呼び掛けで、20人の上院議員がバイデンに書簡を送り、今年10月に始まる新年度にはさらに2万人のアフガニスタン人にSIVを発給するよう訴えた。
この問題に対処するため、カブールの米大使館に関して「領事部の一時的な増員」を承認したと、国務省の報道官は語る。「米軍は9月までに撤退するが、アメリカは米大使館を通じて強固な外交的プレゼンスを維持し、カブールとワシントンの領事部はカブールの治安状況が許す範囲で、SIVの申請を可能な限り迅速に処理していく」
タリバンの標的になる
これまでにイラクとアフガニスタンから約3万の家族が、SIVを通じてアメリカに移住している。一方で、米軍や多国籍軍を支援したアフガニスタン人の通訳などが、ビザの発給を待つ間にタリバンなどの武装勢力に殺害されており、アメリカのモラルの甚大な欠如だと、米退役軍人の支援団体は指摘している。
SIVの申請者を支援する非営利団体「ノー・ワン・レフト・ビハインド」は、少なくとも300人の通訳やその家族の殺害を確認していると、ジェームズ・ミーアバルディス理事長は言う。
国防総省報道官のロブ・ロードウィック少将は、「自分や家族を大きな危険にさらしながら、われわれの軍に貴重な責務を提供してくれた人々を助けるために」、同省もSIVプログラムを引き続き「支持する」と語っている。
米軍の撤退が加速するなか、ビザ問題の緊急性はさらに高まっている。多国籍軍に参加している国々は、早ければ7月4日の撤退完了を目指すところもある。米中央軍は5月中旬に、撤退開始から1カ月足らずでプロセスの13〜20%が完了したと報告した。戦闘司令部によると、アメリカは5つの施設をアフガニスタン国防省に引き渡し、資材を115機分空輸した。
9月の撤退完了目標がビザ問題をより難しくしているからといって、「共に戦った人々や、撤退後にタリバンの復讐の標的になるだろう人々に対する責任をアメリカが免れることはない」と、元米国防総省副次官補でABCニュースのアナリストとしてアフガニスタンに駐在していたミック・マルロイは言う。