米軍に協力したアフガニスタン人、アメリカに見捨てられタリバンに殺される危機が迫る
A Moral Obligation
「アメリカを攻撃した勢力と命を賭して戦った人々を、われわれは支援する準備をしなければならない。彼らはまさに、アメリカに来て市民権を得ようとする個人に求めるべき資質を備えている」
しかし、ビザ取得までには官僚主義の壁がいくつも立ちはだかる。膨大な数の申請書類をそろえ、米領事館で面接を受け、さらに書類作成、手続きなど14段階の複雑なプロセスを経て、ようやくSIVを手にできる。
1月に国務省が発表したデータからも、膨大な時間がかかることが見て取れる。書類審査は1つにつき平均10日、事務処理には3カ月以上かかることも。さらに、特別委員会が申請を審査して承認を決定するプロセスは平均833日と、2年を優に超える。
陸軍時代にイラクとアフガニスタンの双方に駐留したミーアバルディスは、自分のアフガニスタン人通訳のSIV申請を手助けしたが、ビザの発給までに3年かかった。多くの退役軍人が似たような経験をしていると、彼は語る。
「彼らはそれぞれ、個人として正しいことをしようと努め、自分のパートナーの脱出を助けるために何年もかけて官僚機構と戦ってきた」
国としてのモラルの問題
米国務省のデータによると、昨年10〜12月にアフガニスタン向けに発給されたSIVは計1321件。アフガニスタン人の申請枠は残り1万993件だ。
アメリカは19年度末までに、米政府のために働いたイラク人に2万993件のSIVを発給したが、やはり処理の遅さや言語の壁などについて批判を受けている。今も多くのイラク人が、アメリカへの入国の承認を待ちながら危険にさらされている。
長く待たされる理由は、典型的なお役所仕事に加えて、過去の申請の処理が滞っていること、厳格な身元調査に時間がかかること、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)で米大使館員が退避したために事務スタッフが少ないことなどがある。
アフガニスタン人通訳の中には、雇用契約書や、かなり前に死亡した上司や倒産した契約会社からの推薦状など、必要な書類の作成に苦労する人もいる。また、米議会内外の支援者はバイデン政権に対し、移民の再定住先として、米国内の候補地を明確に承認することを求めている。
ベラ下院議員は、アメリカという国の基本原則が問われており、党派を超えた最優先課題だと語る。
「ほかの国の人々に私たちのために働いてほしい、協力してほしいと求めるなら、今後どのようなモラルを持つべきか。国としてモラルの範を示したいのなら、これこそ私たちがやるべきことだ」
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