外国人を犯罪者予備軍とみなす日本の入管の許されざる実態
「難民を受け入れたら日本で犯罪が増えるのではないか」との不安を覚えている日本人も少なくない。かつてこの国は1万1000人を超えるインドシナ難民を受け入れた歴史はあるが、それによって犯罪が増えたという事実はない。
「国が守ってくれない人を、国際社会で助けよう」というのが、難民保護の基本的な考え方だ。基本的には、難民は情けで受け入れるものというイメージだと思うが、東京にある栄鋳造という会社は、下請けから脱却すべく難民を戦略的に雇用している。彼らの能力が活かされた結果、この会社は縮小の一途をたどる国内における下請けの現状を打破し、過去のデーターにはなるが、2011年0%だった海外売上が、その2年後には70%まで拡張した。「情けは人のためにあらず」ということが数字としても証明されている。
最後に、今回の事件を受けて法務大臣が矢面に立たされたが、法務省の組織図を確認してもらいたい。法務省の中に、今回の出入国在留管理庁もだが人権擁護局もある。法務局は日本の人権全般を中心となって担っている組織だ。この際、入国在留管理庁内の人権教育はもちろん、自ら人権を語るに相応しい組織になるよう期待したい。
ウィシュマさんのご冥福をお祈りいたします。
【筆者:にしゃんた】
セイロン(現スリランカ)生まれ。高校生の時に初めて日本を訪れ、その後に再来日して立命館大学を卒業。日本国籍を取得。現在は大学で教壇に立ち、テレビ・ラジオへの出演、執筆などのほか各地でダイバーシティ スピーカー(多様性の語り部)としても活躍している。