東京五輪アメリカ代表ユニフォーム、「金持ち白人」的すぎる問題
White, White, White!
過去の五輪に比べれば進歩も見られるが(東京五輪閉会式用の米選手団のユニフォーム) PHOTO ILLUSTRATION BY SLATE. PHOTOS BY RALPH LAUREN
<老舗ラルフ・ローレンが手掛けるデザインが、いつも白人支配層階級的なものになる理由>
4月14日、東京五輪の閉会式でアメリカ選手団が着る公式ユニフォームが発表された。老舗ブランドのラルフ・ローレンが手掛けたそれは、白のジーンズと白のポロシャツ、そして白のウインドブレーカーという組み合わせだ。
ラルフ・ローレンは、2008年以降の全ての五輪でアメリカ選手団のユニフォームを製作してきた。悪趣味と批判されることもあったが、ほとんどの場合、デザインは想定の範囲内だった。冬季五輪はスイスの山小屋風の暖かそうな服、夏季五輪はアメリカの富裕世帯の若者が海でクルーザーに乗るときに着るような服というのが定番だ。
ユニフォームのデザインに求められてきたのは「アメリカらしさ」。ラルフ・ローレンにとって、それはアメリカ社会の伝統的な白人支配階級の文化にほかならない。
ラルフ・ローレンのユニフォームが毎度代わり映えがしないことは、あまり責められない。流行の影響を受けないポロシャツとボタンダウンシャツ、細身のデニムは、同社が最も熟知しているファッションだ。米オリンピック委員会とパラリンピック委員会は、同社に依頼する以上、こうしたデザインになることを予想しておくべきだろう。
16年の夏季五輪よりは多少マシ
つまり、責任はあくまでもオリンピック委員会とパラリンピック委員会にある。とっくの昔に、もっとアイデア豊富なデザイナーを抜擢するべきだった。とはいえラルフ・ローレンも、もう少し独創性を発揮できなかったのか。東京五輪はコロナ禍で1年延期されたから、時間の余裕もあったはずだ。
それでも、今年のデザインは16年夏季五輪に比べればいくらか改善が見られる。前回のユニフォームは、白のショートパンツ、ボタンダウンシャツ、そして(愛国カラーの)赤白青を使ったボートシューズ。しかもシャツには大ぶりのポロ・ラルフ・ローレンのロゴが刺繍されていた。
その点、今年はロゴがだいぶ小さくなっている。それにウインドブレーカーを採用したことで、鼻につく上流階級趣味が薄まり、スポーティーさが強まった。
こうした点は評価できる。そもそも赤白青の3色を使いつつ、愛国テイストの押し売りにならないデザインを考案するのは、至難の業だ。