ミャンマー、拘束中のスー・チーが初出廷 軍政はNLD解党を画策
2月1日の軍によるクーデターで身柄を拘束されたアウン・サン・スー・チー氏が法廷に姿を見せた(左側)。MRTV/REUTERS TV/via REUTERS
<混乱する情勢のなか、姿を見ることのなかった「民主化の女神」が4カ月ぶりに公の場に>
2月1日の軍によるクーデターで身柄を拘束され、役職を解任されていたミャンマーのアウン・サン・スー・チー国家最高顧問兼外相が5月24日、裁判所に直接出廷。拘束以来その姿が初めて公開された。
3月1日の初公判以来、スー・チー氏はこれまでの公判ではオンラインのビデオによる出廷で、その映像や画像、対面でのコメントが公表されることはなかった。
これはミャンマー国営放送が24日午後、放映したニュースの中で伝えたもので、法廷とみられる場所に座るスー・チー氏の様子がクーデター後初めて公開された。その後ミャンマーの複数の独立系メディアが国営放送の映像を引用する形で報道、SNSなどにもアップされて内外に一斉に伝えられた。
公開された写真は3枚で、うち2枚にスー・チー氏を含む3人の「被告」が座り、後ろには治安当局メンバーとみられる2人が立っている様子がわかる。写真でスー・チー氏はマスクを着用して正面を向いており、その表情は固いままで薄い青色の上着に青いロンジー(ミャンマーの民族衣装)とみられる服装を着こんでいたが、シンボルである髪の花飾りはつけていなかった。
公判前にスー・チー氏に直接面会して会話したドウ・ミン・ソー弁護士によると、スー・チー氏の「健康状態は問題なかった」という。
「国民の健康を祈り、党は残る」
24日の公判は、メディア関係者によるとスー・チー氏が拘束されている自宅がある首都ネピドーのミャナンボンサル通り近くの一般民家を急ごしらえで法廷に改造した建物で行われたという。
法廷ではスー・チー氏が訴追されている「外国から違法に無線機を輸入した」「2020年11月の総選挙などでコロナ感染対策を十分取らなかった」などの容疑に関して審理が続いている。国営放送は審理の具体的なやり取りなどは伝えなかったという。
公判前に約30分、スー・チー氏と直接面会したドウ弁護士によると、スー・チー氏は「すべての国民の健康を祈る」と語った。さらに自らが党首を務め、2020年11月の総選挙で地滑り的勝利をおさめた「国民民主連盟(NLD)」に関して「NLDは国民のために創設された。国民が健康でいる限り、党は存続する」と述べ、NLDへの支持を呼びかけるとともに、暗に軍政に屈しない忍耐を求めた。