慰安婦訴訟は却下...時間が解決しない日本と韓国の歴史問題にバイデンはどう出る?
The Legacy of Wartime Atrocities
日本政府は主権免除の原則を理由に一連の審理を欠席。韓国政府に訴訟の却下を求めてきた。
ソウル中央地裁は1月の判決で、日本は「意図的、組織的、かつ広範囲にわたる反人道的な犯罪行為で国際的な規範に違反した」とし、主権免除は適用されないと認定していた。
行き詰まった日韓合意
いわゆる慰安婦の問題で、日本は過去に繰り返し謝罪しているが、法的な責任までは認めていない。財産・請求権の問題は、1965年の国交正常化に際して締結された日韓基本条約と関連協定で解決されたと主張。このとき日本政府は数億ドルの経済支援と融資を行っている。
2015年には慰安婦問題について日韓合意が交わされ、両国政府の間で「最終的かつ不可逆的な解決」を確認。日本政府は「責任を痛感」し、元慰安婦の支援を行う財団の設立に10億円を拠出した。
しかし、元慰安婦らは、日韓合意は日本が法的責任を受け入れる段階まで至らず、元慰安婦が交渉のテーブルに着かなかったと主張している。
韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は17年末に、日韓合意には欠陥があり「慰安婦問題を解決できない」と述べた。19年には、合意に基づいて設立された財団を解散させた。
米政府は今回の裁判についても慰安婦問題をめぐる直近の日韓の緊張についてもコメントしていない。だが「バラク・オバマ元大統領が韓国に対日関係改善の圧力をかけた」ように、バイデンも日韓関係の修復に向けて外交圧力をかけるだろうと、高麗大学の政治学教授・李信和(イ・シンファ)はみる。
バイデンは就任まもない今年3月、国務長官と国防長官を東京とソウルに派遣し、国外での最初の外交会談を行わせた。バイデン政権の「閣僚級高官の最初の外遊先に日本と韓国を選んだのはただの偶然ではない」と、アントニー・ブリンケン国務長官は3月17日にソウルで語った。