ジョージ・フロイド事件「有罪」で実現しなかった「正義」とは何か
筆者は人権問題の研究者として、「移行期の正義」をグローバルな視点と国際比較の観点から研究している。移行期の正義とは、「例えば真実究明委員会、賠償金、追悼碑、制度改革など、過去の人権侵害を救済するため(そして将来の人権侵害を防ぐため)に、説明責任を果たす司法的および非司法的な措置」のことだ。
筆者の研究所のデータによると、フロイド殺害と国内外での抗議活動以降、アメリカでは市、州、連邦レベルで8つの真実究明委員会の設立が提案され、3つが活動を開始した。いずれも人種がらみの暴力や不正の調査と政策提言を目的としている。
真実究明委員会や移行期の正義は、ジョージ・フロイドの遺産の一部になり得るものだ。アメリカが構造的な人種差別に立ち向かう契機になる可能性がある。今こそ行動を起こす時だ。

アマゾンに飛びます
2025年4月8日号(4月1日発売)は「引きこもるアメリカ」特集。トランプ外交で見捨てられた欧州。プーチンの全面攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら