南シナ海で中国の空母の演習を「監視」する米海軍艦船の動画が話題に
U.S. Navy Warship Shadows China Aircraft Carrier in Video
日本の宮古海峡を通過する中国空母・遼寧(4月4日) Joint Staff Office of the Defense Ministry of Japan/REUTERS
<西沙群島付近で漁業従事者が空母「遼寧」の演習風景を撮影・投稿。遠くから演習を見ている米艦船に注目が集まる>
今週、中国のソーシャルメディアにある動画が投稿された。中国軍の空母が南シナ海で軍事演習を行う様子を捉えたもので、遠くにはそれを監視する米海軍の駆逐艦が映っている。
中国の漁業従事者が動画投稿アプリの「快手」でシェアしたこの動画は、4月16日に人民解放軍が西沙群島(パラセル)で演習を行った際の様子を撮影したもので、戦闘機J15(殲15)が空母「遼寧」に着艦する様子を捉えている。
動画の投稿者は、中国海軍の052D型駆逐艦1隻が近くを航行する動画も投稿したが、注目すべきは遠くから中国の空母群を監視している艦船の方だろう。複数の専門家は本誌に対し、この艦船は、米海軍のアーレイ・バーク級の駆逐艦である可能性が高いと指摘した。ラジャラトナム国際学院(シンガポール)の研究員であるコリン・コーは、特徴的なマストの形とシルエットが見てとれると説明した。
姓を「マー」とのみ名乗る投稿者によれば、彼がこの動画を撮影したのは4月16日の午前と午後だ。彼が乗るトロール漁船は、翌日からの実弾発射を伴う演習に備えて、西沙群島から離れる準備をしていた。
「全ての漁船が、16日の夜にこの海域から離れた」と彼は述べ、また中国軍がリンカーン島(彼は中国名で「東島」と呼んだ)の携帯電話基地局からの電波を遮断した後は、携帯電話が通じなくなったとも語った。彼が動画を投稿したのは、中国南部の三亜市にある自宅に戻った後のことだ。
「反対側から撮影した映像」も
マーが快手に投稿した動画は、中国軍の戦闘機が、中国初の空母である遼寧の甲板に着艦するありのままの様子を捉えたことで注目を集めた。動画の空母が遼寧であることは「16」という艦番号から確認でき、また「スキージャンプ」と呼ばれるそり上がった形の飛行甲板からも見てとれる。
米駆逐艦の存在に気づいた一部のソーシャルメディアユーザーは、問題の動画が投稿されたことで、中国の空母群の居場所が特定されてしまうと指摘。これは「国の機密」を漏らす行為だと非難し、マーに動画の削除を求めた。
だが既に先週、西沙群島周辺での同じ軍事演習の様子が明らかにされていた可能性が高い。ツイッターのあるユーザーが、J15が遼寧に着艦する様子を反対側から撮影した動画と写真をシェアしていたのだ。
問題の動画(現在は非公開)は、マーと同じ頃に撮影されたものとみられる。投稿者は、遼寧を監視していた米海軍の艦船の乗組員を名乗っている。本記事の執筆時点でこの投稿者のツイートは非公開のままであり、本誌としてアカウント保有者の身元を確認することはできなかった。