中国が「密告ホットライン」を開設、ネット民に告げ口を奨励
China Encourages Citizens to Report Each Other for 'Mistaken Opinions'
当局は一般市民に対して「積極的に社会に目を光らせる」よう呼びかけている(写真は2020年1月28日、上海) Aly Song- REUTERS
<共産党結成100周年を7月に控え、ますます「誤った意見」は言えなくなる閉塞社会>
中国共産党は4月9日、インターネット上で中国共産党を批判したり、党の歴史解釈を問題視したりするコメントを見つけた場合に「通報」できるホットラインを開設した。7月の共産党結成100周年に向けた取り締まり強化策の一環だ。
中国サイバースペース管理局(CAC)の通達によれば、同ホットラインは、インターネットユーザーがオンライン上で「誤った意見」を拡散している者を見つけたら通報できるようにすることで、「好ましい世論の雰囲気」をつくることを目的としている。
「しばらく前から、さまざまな魂胆を持つ一部の者が、インターネット上でニヒリスティックな(虚無的な)誤った主張を展開してきた。悪意をもって共産党や国の歴史、軍の歴史に関する事実を歪曲したり批判したり否定したりして、人々を混乱させようとしてきた」とCACは通達で述べる。「多くのインターネットユーザーが積極的に社会に目を光らせ、有害な情報を報告してくれることを期待する」
ホットラインは「歴史的ニヒリズム(虚無主義)」を一掃するための取り組みだ。ロイターによれば、この「ニヒリズム」は中国では、歴史に関する中国共産党の公式解釈を否定・疑問視する考え方を(批判的に)指摘する言葉として使われている。
議論の許容範囲が「大幅に縮小」
戦略国際問題研究所の上級アドバイザーで中国部長のスコット・ケネディは、今回のイニシアチブで中国当局が真に重視しているのは、歴史をめぐる議論ではないと次のように指摘する。
「現在の指導部は、中国の歴史に関する議論を管理し、公式な解釈とは異なる意見を制限しようとしている。全ては現在の指導部と習近平国家主席について、人々が肯定的な見方をするように導くためだ」
中国のインターネットは既に、世界で最も厳しい部類に入る検閲下に置かれており、諸外国のソーシャルメディアサイトや検索エンジン、ニュースサイトは閲覧できないようになっている。ケネディは、新たなホットラインは「議論の許容範囲が大幅に縮小していること」を示す一例だと述べた。
CACの通達は、批判的なコメントを拡散した者に対して、どのような罰が科されるのかについては説明していない。だが中国では既に、共産党の指導部や政策、過去の出来事についての解釈を批判または疑問視するコンテンツを投稿した人々が、禁錮刑をはじめとするさまざまな刑罰に直面している。