内戦前夜、ミャンマーの緊張緩和に乗り出した中国
China Steps Up Efforts to Cool Down Myanmar Tensions Amid Fear of Civil War
ヤンゴンの中国大使館の前で国軍の味方をする中国に抗議する人々(2月19日) REUTERS
<国軍の後ろ盾と思われてきた中国はここへきて、スーチー派とも話をしたことを認めた。露骨な内政干渉は避けつつ、国内各勢力の衝突回避を図る独自の道は成功するか>
中国がミャンマー国内の緊張を和らげる取り組みを強化している。ミャンマーでは軍部のクーデター以来、混乱が激化、軍部とクーデター反対派、様々な少数民族の武装勢力による内戦に突入する恐れが高まっている。
今年2月にアウンサン・スーチー国家顧問が拘束されて以来、現在ミャンマーを支配する軍事政権とそれに抗議する国民との衝突が悪化しているが、中国はミャンマーに対する国際社会の介入圧力を抑え、代わりに国内での激しい衝突を緩和するため独自の道を追求してきた。
ミャンマーの地元メディア、イラワジは8日、複数の情報源を引用して、首都ヤンゴンにある中国大使館の外交官が、スーチーが率いる国民民主連盟(NLD)の議員らが事実上の臨時政府として組織した「ミャンマー連邦議会代表委員会 (CRPH)」の代表メンバーと電話で話したことを報じた。
9日の記者会見でこの接触について確認を求められた中国外務省の趙立堅(チャオ・リーチエン)報道官は、中国政府は積極的に平和の促進を試みていると答えた。
冷静な話し合いをめざす
「中国はミャンマーの現状を懸念しており、ミャンマーのすべての当事者が、憲法と法的枠組みの中で政治的理解を共有するために、できるだけ早い時期に対話を開始することを望んでいる」と、趙は述べた。「そして、やっとのことで手にした民主制への移行プロセスを、ミャンマーの国家状況に合う形で進めるべきだ」
中国はこの問題に関与し続けるつもりだ、と趙は語った。
「中国は、緊張を徐々に緩和し、興奮を鎮めるために、ミャンマーの関係者らとの接触および話し合いを続けるだろう」。
同日ロイターに送った声明の中で、在ミャンマー中国大使館は「中国はミャンマーのあらゆる関係者と連絡を取り合い、話し合っている」ことを確認した。
「その目的は、平和と対話を促進し、過熱した状況を冷却化し、ミャンマーの安定を維持すること。対話と協議を通じて違いを解決し、民主的な変革のプロセスを推進することだ」と、声明は述べている。
クーデターや弾圧、そして農村部を拠点とする分離主義の少数民族武装勢力との紛争など、ミャンマーでは長年にわたって、不安定な政情が続いている。それでも2011年には軟禁状態にあった民主化運動の指導者スーチー (ミャンマー独立の父アウン・サン将軍の娘)が解放され、新たに創設された国家顧問の地位に昇進、事実上の国家元首となった。