アメリカで再浮上する移民危機、トランプの攻撃材料に
Biden Must Fix Border Situation Fast, Democrats Say
中間選挙に向けてトランプ派は次のようなメッセージを出すと、カフロンはみている。トランプ政権下ではアメリカ人は不法移民から守られていたが、バイデン政権は犯罪者だろうと「誰だろうとお構いなしにどんどん入国させる」、というものだ。
カフロン自身はこのメッセージを信じていないが、有権者にとっては分かりやすい主張で、政治的には有効だと言う。
「特に中高年層は効果がある。この層は元々、バイデンと民主党の左派が急進的な改革を進めるのではないかと警戒しているからだ」
だが一方には、共和党が巻き返しを図るには、移民問題を攻撃材料にするしかないのが実情だ、との見方もある。バイデン政権は発足早々、大手柄を上げた。コロナ対策の救済計画法は有権者を大いに満足させているし、インフラ整備法案も時間はかかるにせよ、議会の承認を得られそうだ。エコノミストはバイデン政権の経済対策を高く評価しており、アメリカ経済の長期的な見通しは明るい。バイデン政権下でアメリカ人の生活が悪化したと主張するには、共和党は移民問題を持ち出すくらいしか手がない、というのだ。
トランプの手法は通用しない?
民主党は、入国希望者の殺到は季節的なもので、根本的な原因は中南米諸国の治安や経済状況にあると主張。バイデンに限らず、歴代のアメリカの大統領は漏れなく、この時期に中南米出身者の大量流入に手を焼いてきたと反論している。
さらには、昨年の大統領選の結果を見ても、トランプの手法がもはや「賞味期限切れ」なのは明らかだと指摘する向きもある。
「政界復帰を目指すなら、トランプはまたもや恐怖をあおる戦術に頼ろうとするはずだ。事実を捻じ曲げ、自分がさも優れた移民政策を実施したかのように吹聴するだろう」と語るのは、アリゾナ州に拠点を置く民主党の弁護士ロイ・ヘレラだ。
「だがその手が通用する保証はない。トランプの主張に耳を貸す人もいるだろうが、それは少数派だ。もはや何を言っても、大多数の有権者はまともに相手にしない」