最新記事

LGBTQ

「交際相手がゲイと知ったショックで殺してしまった」という弁護がやっと禁じられる

Virginia Is First Southern State to Ban 'Trans Panic' Defense for Murder, Assault

2021年4月7日(水)06時30分
ダニエル・ビャレアル

にもかかわらず、こうしたパニック論は何度も繰り返されている。有名な例としては、1993年にトランスジェンダー男性ブランドン・ティーナが殺害され、のちに『ボーイズ・ドント・クライ』として映画化された事件が挙げられる。

また、1995年にトーク番組「ジェニー・ジョーンズ・ショー」に出演したスコット・アメデュールが殺害された事件も有名だ(視聴者が秘密を告白する番組で、知り合い男性への思いを語ったアメデュールは、数日後にその男性に殺された)。

さらに、1998年に同性愛者であることを理由に大学生マシュー・シェパードが殺害された事件や、2008年に15歳のラリー・キングが、好意を示した14歳の男子同級生に銃殺された事件、2015年に同性愛者ダニエル・スペンサーが隣人に殺害された事件なども知られている。

米国法曹協会は2013年、全米各州に対してゲイ・パニック論を禁止するよう呼びかけた。以降、今回のバージニア州に先立って、2014年のカリフォルニア州を皮切りに、コロラド州、コネチカット州、イリノイ州、メイン州、ニュージャージー州、ニューヨーク州、ネバダ州、ロードアイランド州、ワシントン州の10州が、ゲイ・パニック弁護とトランスジェンダー・パニック弁護を禁止していた。

ニューヨーク州知事アンドリュー・クオモは、2019年に同種の禁止令に署名をした際、次のようにツイートした。「今回の法案成立により、私たちはこの有害な法的弁護戦略を歴史上の塵として葬り去ろうとしている。あらゆる場所に住むLGBTQの人々にとって、大きな意味を持つ勝利だ」

ニューヨーク州議会上院議員として法案を起草した民主党のブラッド・ホイルマンは当時、こう述べていた。「この禁止令は、検察官、被告側弁護人、陪審員、裁判官に対し、被害者のLGBTQとしてのアイデンティティを、被告が武器として利用することはできないというメッセージを送っている」

(翻訳:ガリレオ)

20250225issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年2月25日号(2月18日発売)は「ウクライナが停戦する日」特集。プーチンとゼレンスキーがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争は本当に終わるのか

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    メーガン妃が「アイデンティティ危機」に直面...「必死すぎる」「迷走中」
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 6
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 7
    深夜の防犯カメラ写真に「幽霊の姿が!」と話題に...…
  • 8
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 9
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 10
    トランプが「マスクに主役を奪われて怒っている」...…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 4
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 9
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 10
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 10
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中