韓国系移民の共和党候補が「中国系移民はアメリカに来るな」と発言
Ex-Trump Official Rejects Chinese Immigrants, Says It's OK as She's Korean
元上司のトランプ同様に新型コロナと中国人を結びつける発言をして激しい批判を浴びているセリー・キム(右) Twitter
<下院補選への出馬に意欲見せるも、先輩の韓国系女性議員からは総スカン>
トランプ政権で中小企業庁の高官を務め、今はテキサス州の下院補選に共和党候補として出馬を狙うセリー・キムが、中国からの移民の入国を拒絶すべきだと述べて物議を醸している。自分は韓国系だから、こうした発言をしても許される――そんな主張も行った。
キムは3月31日に行われた政治集会で、中国からの移民は新型コロナウイルスを持ち込む可能性があるため、アメリカへの入国を認めるべきではないと述べた。こうした主張は、アメリカでアジア系への差別が深刻化している原因とも言われている。
ダラス・モーニング・ポストによれば、キムは集会で中国からの移民について「ここ(アメリカ)にいて欲しくない。彼らはわが国の知的財産を盗み、コロナウイルスを持ち込み、やったことの責任も取らない」と述べたという。
またキムは「正直なところ、私は韓国系だからこういうことも言える」と語ったという。
本誌の取材に対しキムは「リベラル系メディアが私をアジア系アメリカ人に対する(人種的な)憎悪のシンボルに仕立てようとしていることにショックを受けている。中国共産党に異議を唱えたというだけで、アジア系で移民の私に反アジア系、反移民のレッテルを貼ろうとするなんて」と回答した。
アジア系への暴力事件増加も否定
キムは韓国生まれで、子供の頃に家族とともにアメリカに移住、一家はテキサス州に定住した。2月にテキサス州選出の共和党の下院議員が新型コロナウイルス感染症で死去したため、補欠選挙に立候補しようと同党からはキムを含む11人が名乗りを上げている。
キムはまた、アジア系アメリカ人を狙った暴力事件は以前からあり、最近メディアが報道するようになって目立っているだけだと主張した。
「今の最大の違いは、みんなが動画を撮っていて、メディアがそれを報道する選択をしているということだ」とキムはダラス・モーニング・ニュースに語った。「アジア系は常に暴力に直面してきた。以前よりもひどくなったわけではない」
「私はアジア系アメリカ人で、これまで差別を感じたことはない。中国が実際に生み出した問題について、対中非難の声を上げているからだ」とキムは集会で述べた。
アメリカでは、アジア系アメリカ人に対する襲撃や脅迫といった事件が増えている。先月にはアトランタで、アジア系女性6人を含む8人が射殺される事件も起きた。
先月、カリフォルニア州立大学サンバーナーディーノ校ヘイト過激主義研究センターが発表した研究によれば、アジア系を標的にしたヘイトクライム(憎悪犯罪)は2019年から2020年にかけて145%増加した。