最新記事

アジア系差別

韓国系移民の共和党候補が「中国系移民はアメリカに来るな」と発言

Ex-Trump Official Rejects Chinese Immigrants, Says It's OK as She's Korean

2021年4月5日(月)17時14分
キャサリン・ファン

暴力事件の増加には新型コロナウイルスを巡るトランプの中国敵視発言が関係しているとの見方もある。トランプは新型コロナウイルスのことを「中国ウイルス」などと繰り返し呼んだ。

WHOは政府機関や報道機関に対し、新型コロナウイルス感染症は「『武漢ウイルス』でも『中国ウイルス』でもなければ『アジアウイルス』でもない」として、特定の場所や民族の名を冠して呼ばないよう呼びかけてきた。COVID-19という正式名称も、特定の国や民族に結び付けられることがないように付けられた。

セリー・キムの発言に強く反発したのが、ヤング・キムとミシェル・スティールという2人のアジア系の共和党下院議員だ。先月初めに表明していたセリー・キムの立候補への支持表明も、2日に撤回した。

2人は声明で「韓国系女性として初の共和党下院議員になった者として、私たちはコミュニティに貢献したいと望むアジア・太平洋諸島系(AAPI)の仲間たちを応援し、引っぱり上げたいと思っている」と述べた。

「セリー・キムの中国系移民に関する有害で事実に反する発言については、受け入れられないと本人にはっきり伝えた。AAPIコミュニティに対するヘイト(憎悪)が深刻化している時期でもあり、謝罪して発言の意図を明確にするよう強く求めた」と2人は声明で述べた。

「にもかかわらず、彼女は公の場で反省の意を示していない。また、彼女の発言は私たちが大切に思うものとは正反対だ。私たちは良心に照らし、彼女の立候補を支持しつづけることはできない。私たちはAAPIコミュニティへの支持を表明し続けるだろう」

当人は発言撤回はせず

2人は4月1日、CNNに対し声明でこうも述べている。「セリーの発言は受け入れがたく有害だ。(AAPIの)コミュニティを狙ったヘイトが増加している時であればなおさらで、そのことを今日、本人にはっきり伝えた」

「中国系アメリカ人、そしてすべてのアジア系アメリカ人はアメリカ人であり、日々、社会に貢献している。これまでも言ってきたが、アジア人やアジア系アメリカ人に対する差別や暴力は終わらなければならない。新型コロナは(人種や民族を)分け隔てたりはしない。いかなる人種やいかなる民族集団のいかなるアメリカ人もウイルスが広がったことに責任はない」と2人は述べている。

当のセリー・キムは31日、CNNに対し、発言は「中国共産党に向けたもので、アジア系アメリカ人、特にこの圧制的な体制から逃げてきた中国系移民に向けたものではない」と自己弁護した。またキムは、発言を撤回するつもりはないとも述べている。

20250128issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年1月28日号(1月21日発売)は「トランプの頭の中」特集。いよいよ始まる第2次トランプ政権。再任大統領の行動原理と世界観を知る


※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

現代製鉄、米工場建設を積極検討

ビジネス

英財政赤字、12月は市場予想以上に膨らむ 利払い費

ビジネス

トランプ氏の製造業本国回帰戦略、ECB総裁が実効性

ワールド

中国、国有金融機関に年収上限設定 収入半減も=関係
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの頭の中
特集:トランプの頭の中
2025年1月28日号(1/21発売)

いよいよ始まる第2次トランプ政権。再任大統領の行動原理と世界観を知る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のアドバイス【最新研究・続報】
  • 2
    被害の全容が見通せない、LAの山火事...見渡す限りの焼け野原
  • 3
    「バイデン...寝てる?」トランプ就任式で「スリーピー・ジョー」が居眠りか...動画で検証
  • 4
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
  • 5
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 6
    大統領令とは何か? 覆されることはあるのか、何で…
  • 7
    電子レンジは「バクテリアの温床」...どう掃除すれば…
  • 8
    世界第3位の経済大国...「前年比0.2%減」マイナス経…
  • 9
    欧州だけでも「十分足りる」...トランプがウクライナ…
  • 10
    「敵対国」で高まるトランプ人気...まさかの国で「世…
  • 1
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のアドバイス【最新研究・続報】
  • 2
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性客が「気味が悪い」...男性の反撃に「完璧な対処」の声
  • 3
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 4
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 5
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 8
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 9
    被害の全容が見通せない、LAの山火事...見渡す限りの…
  • 10
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中