全米各地で子どもの成績低下が深刻に コロナで長引く在宅学習が影響
ジェファーソン郡の高校で英語を教えるエミリー・ブラントンさんはロイターに対し、生徒の一部はマクドナルドから(オンライン)授業にログインしてくると教えてくれた。ブロードバンド接続を利用できる場所がそこしかないからだ。家計を支えるために複数のアルバイトをしている生徒もいるという。
不登校問題を調査している組織、アテンダンス・ワークスが2月に発表したレポートによれば、コネチカット州やカリフォルニア州では、少なくとも一部の学区で常習的な欠席が急増しており、特にパンデミックによる影響を最も深刻に受けている生徒のあいだで顕著だという。
無党派の調査機関である公共教育再生センターのベサニー・グロス副所長は、「私たちが最も恐れているのは、こうした子どもたちが昨年1年間まったく学習も登校もせずに過ごしてしまったのではないかということだ」と語る。「彼らにとっての損失は本当に厳しいものであり、私たちは、そのギャップを着実に埋めることができていない」
「世代単位での不利」
学校の再開に伴い、教育関係者、専門家、政府当局者は解決策を模索している。
今月ジョー・バイデン大統領が署名した1兆9000億ドル(約209兆5700億円)規模の新型コロナウイルス追加経済対策により、「K-12(幼稚園から12年生=高校3年生)」に相当する学校には1220億ドル以上が投入され、貧困地域の支援に向けた資金も割り当てられる。各学区では、この学校向け資金の20%を、パンデミックによる学習の損失を緩和するために投じなければならない。
7州の州議会では、親が子どもの留年について判断する選択肢を与える法案を検討中である。生徒の留年については、通常は学区レベルで判断されている。
フロリダ州議会上院のロリ・バーマン議員は「まさに最終手段となる法案だ」と語る。同議員は地元の学区において、2000年秋の1学期中に評点「F」が前年比で3倍近くに増加したのを見て、こうした法案を提出した。ただし、子どもたちが留年しなくて済むよう「集中的な支援」を行う方が望ましいと同議員は言う。
ノースカロライナ州では、学業不振の生徒のために最低150時間の対面による夏季講習を各学区に要請する法案を検討中である。
同州の公共教育最高責任者を務めるキャサリン・トゥルイット氏はある声明の中で、「このパンデミックが、生徒たちに長期的な影響を与える世代単位での不利益になってはならない」と述べている。
ケンタッキー州ジェファーソン郡の教師ブラントンさんは、今年秋の最優先課題は、学習曲線のどの段階にいるかにかかわらず、生徒たちにしっかりと向き合うことだ、と語る。
「こうした子供たちには、毎年この内容を教えているのだから追いついてくれるだろう、というだけの気持ちでは接しないつもりだ」とブラントンさんは言う。
(Gabriella Borter記者、Brendan O'Brien記者、翻訳:エァクレーレン)
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