最新記事

世界の最新医療2021

コロナ禍で持病の治療は延期すべき? 死亡リスクを比較してくれるアプリが登場

THE COVID FACTORS

2021年4月1日(木)20時38分
シーマ・プラサド

さらに境界内平均生存期間(RMST)という指標で、癌患者が治療を遅らせた場合と、すぐに行った場合の死亡リスクが算出される。

そして研究の結果、「個々の患者の推定生存率は、年齢や併存疾患の数、現在受けている治療法、そして居住地域のコロナ死亡リスクと関連している」ことが分かった。

例えば、ニューヨーク在住の70歳の女性は、コロナ禍の第1波のピーク時に、ステージ2のトリプルネガティブ乳癌にかかっていた。そのうえ糖尿病と高血圧という基礎疾患もある。OncCOVIDによると、この女性が標準的な治療(乳房温存手術と化学療法と補助放射線療法)をすぐに開始すると、治療を3カ月遅らせる場合よりも、5年生存率が8%低下する可能性があったという。

とはいえ、コロナ禍が再び拡大傾向にあるなか、たとえOncCOVIDで「治療を3カ月遅らせたほうがいい」という予測が出ても、実際の3カ月後には、病院での感染リスクが著しく高まっている恐れもある。そう考えると、やはりこのアプリが示す予測は、医師と患者の話し合いのたたき台くらいに受け止めたほうがいいのかもしれない。

202103medicalissue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

SPECIAL ISSUE「世界の最新医療2021」が好評発売中。低侵襲がん治療/再生医療/人工関節置換/アルツハイマー/心臓/生殖医療/AI/遺伝子検査/感染症ワクチン/遠隔医療/健康診断......。医療の現場はここまで進化した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

豊田織機の非公開化報道、トヨタ「一部出資含め様々な

ビジネス

中国への融資終了に具体的措置を、米財務長官がアジア

ビジネス

ベッセント長官、日韓との生産的な貿易協議を歓迎 米

ワールド

アングル:バングラ繊維産業、国内リサイクル能力向上
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは? いずれ中国共産党を脅かす可能性も
  • 3
    トランプ政権の悪評が直撃、各国がアメリカへの渡航勧告を強化
  • 4
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 5
    アメリカ鉄鋼産業の復活へ...鍵はトランプ関税ではな…
  • 6
    ロシア武器庫が爆発、巨大な火の玉が吹き上がる...ロ…
  • 7
    関税ショックのベトナムすらアメリカ寄りに...南シナ…
  • 8
    ロケット弾直撃で次々に爆発、ロシア軍ヘリ4機が「破…
  • 9
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 10
    ビザ取消1300人超──アメリカで留学生の「粛清」進む
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 3
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 4
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 8
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 9
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 10
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 6
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 7
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中