最新記事

米政治

ベーシックインカムを掲げるニューヨーク市長の有力候補

NYC'S 'CHEERLEADER IN CHIEF'

2021年4月8日(木)16時19分
ジェイソン・レモン

――ニューヨーク市政の経験がないことを理由に市長としての資質を疑問視する声には、どう応えるか。

私はニューヨークの中小企業経営者として、顧客の求めに応えてきた。顧客が経営者に求めるのは、期待している成果を着実に、そしてコストを抑えて実現すること。これは、多くの市民がニューヨーク市政府に求めていることでもある。

市民は、もっとうまく機能する市政を望んでいる。これまで市政の足を引っ張ってきた要素とは無縁の候補者は、有権者にとって非常に魅力的なのではないかと思う。

――あなたの看板政策と言えば、ベーシック・インカムだ。大統領選に立候補したときは、全てのアメリカ国民に毎月1000ドルを給付するという公約を掲げていた。ところが、今回のニューヨーク市長選での公約は、特に困窮している50万人の市民に年間2000ドルを給付するというものだ。なぜ、全ての市民に月1000ドルを給付すると言わないのか。

可能であれば、ニューヨーク市民全員に毎月1000ドルを給付したい。それを実現できれば、画期的なことだ。でも、連邦政府とニューヨーク市では環境が違う。手持ちの資源をどのように活用するのが有効かを戦略的に考えなくてはならない。

――あなたが打ち出しているもう1つの主要政策が「ニューヨーク・ピープルズ・バンク」の創設だ。この新しい銀行はどのように運営されるのか。既存の金融機関と比べてどのような利点があるのか。

ピープルズ・バンクは、ニューヨーク市が10億ドルを拠出して設立する。その10億ドルを呼び水にして、金融機関などからさらなる資金を集める。それにより、これまで十分な金融サービスを利用できなかったコミュニティー、主に有色人種の人たちに金融サービスを提供したい。

ニューヨークは世界の金融の都でありながら、現時点で住民の12%が銀行口座を持っていない。銀行口座を持っていない人は、小切手の換金手数料や、貸金業者や質屋への支払いなどで、毎年何百ドルもの余計な出費を強いられている。そうした人たちに安価で安全な金融サービスを提供すれば、低所得層の生活コストを減らすことができる。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    メーガン妃が「アイデンティティ危機」に直面...「必死すぎる」「迷走中」
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 6
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 7
    深夜の防犯カメラ写真に「幽霊の姿が!」と話題に...…
  • 8
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 9
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 10
    トランプが「マスクに主役を奪われて怒っている」...…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 4
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 9
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 10
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 10
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中