ベーシックインカムを掲げるニューヨーク市長の有力候補
NYC'S 'CHEERLEADER IN CHIEF'
――ニューヨーク市政の経験がないことを理由に市長としての資質を疑問視する声には、どう応えるか。
私はニューヨークの中小企業経営者として、顧客の求めに応えてきた。顧客が経営者に求めるのは、期待している成果を着実に、そしてコストを抑えて実現すること。これは、多くの市民がニューヨーク市政府に求めていることでもある。
市民は、もっとうまく機能する市政を望んでいる。これまで市政の足を引っ張ってきた要素とは無縁の候補者は、有権者にとって非常に魅力的なのではないかと思う。
――あなたの看板政策と言えば、ベーシック・インカムだ。大統領選に立候補したときは、全てのアメリカ国民に毎月1000ドルを給付するという公約を掲げていた。ところが、今回のニューヨーク市長選での公約は、特に困窮している50万人の市民に年間2000ドルを給付するというものだ。なぜ、全ての市民に月1000ドルを給付すると言わないのか。
可能であれば、ニューヨーク市民全員に毎月1000ドルを給付したい。それを実現できれば、画期的なことだ。でも、連邦政府とニューヨーク市では環境が違う。手持ちの資源をどのように活用するのが有効かを戦略的に考えなくてはならない。
――あなたが打ち出しているもう1つの主要政策が「ニューヨーク・ピープルズ・バンク」の創設だ。この新しい銀行はどのように運営されるのか。既存の金融機関と比べてどのような利点があるのか。
ピープルズ・バンクは、ニューヨーク市が10億ドルを拠出して設立する。その10億ドルを呼び水にして、金融機関などからさらなる資金を集める。それにより、これまで十分な金融サービスを利用できなかったコミュニティー、主に有色人種の人たちに金融サービスを提供したい。
ニューヨークは世界の金融の都でありながら、現時点で住民の12%が銀行口座を持っていない。銀行口座を持っていない人は、小切手の換金手数料や、貸金業者や質屋への支払いなどで、毎年何百ドルもの余計な出費を強いられている。そうした人たちに安価で安全な金融サービスを提供すれば、低所得層の生活コストを減らすことができる。