希望が見えつつあるロサンゼルスで、名所だった映画館が閉館決定 惜しむ声飛び交う
閉館が決定した「アークライト・シネマズ」 Kirkikis -iStock
<ロサンゼルスの名所の映画館が閉館を決定、ロックダウンを乗り越え希望が見えつつあっただけに、衝撃が広がっている...... >
映画の都L.A.で最も愛される映画館が消える。現地時間今週月曜日に発表されたニュースに、L.A.の人々が大きな衝撃を受けている。
タランティーノ作品にも登場したL.A.の名所
ロックダウン後に営業再開をせず、このまま閉鎖すると発表したのは、「パシフィック・シアターズ」と系列の「アークライト・シネマズ」。アークライトはハイクオリティな映画体験をうたい、2002年にハリウッドのサンセット・ブルバードにオープンした映画館で、その後サンタモニカ、パサデナ、シャーマンオークスなどにもオープンした。席の配置は一番前の席でもスクリーンが見やすいように考慮されており、上映前の予告編は3本まで。
今では当たり前となった完全指定席制を始めたのも、この映画館である。技師やスタッフも優秀で、「自分の作品はここで見てもらいたい」と願う映画監督も多く、マスコミ試写もよく組まれてきた。また、ハリウッドのアークライトには、ドーム型映画館シネラマドームが含まれる。タランティーノの「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」にも登場したここは、L.A.の名所のひとつだ。
ようやくL.A.に希望が漲りつつあったのに......
一方でパシフィックは、ザ・グローブやジ・アメリカーナといった人気のショッピングセンターの中にあり、周辺のレストランやショップにとっても客寄せに大事な存在だった。
昨年3月、ロックダウンで映画館が閉鎖されて以来、コロナのせいで映画館がいくつか潰れるであろうことは、予測されてきたこと。それでも、なぜ多くの人がここまで驚いたのかというと、このタイミングだったからだ。ロックダウンの暗澹とした最中だったら、まだ理解できただろう。この1年の間には、長年愛されてきた多くのレストランが閉店を決断している。全米最大のシネコンチェーンAMCも、去年は何度となく「感謝祭までしか持たない」「おそらく年を越せない」などと言ってきた。しかし、今、L.A.は、そこを乗り越え、街には、希望が漲っているのである。
州知事もカリフォルニアに「日常」が戻ると宣言したばかり
ワクチン接種が順調に進み(現地時間4月14日現在、カリフォルニアでは39.3%が最低1回を接種済み)、陽性率が全米の州で最下位(今月に入ってからは毎日1%台)になったのを受けて、先週、ギャヴィン・ニューサム州知事は、6月15日にはカリフォルニアに「日常」が戻ると宣言した。
去年は無観客だったメジャーリーグも、今月から、人数を制限しつつ客を入れている。1年も閉鎖されていた映画館も、3月15日から経営再開許可が出て、AMC は早速その日にオープンした。そして、その2週間後に公開された、コロナ後初のメジャー大作となる「ゴジラVSコング」は、HBO Maxで同時配信だったにもかかわらず、業界の予測を上回る興業収入を上げてみせたのだ。映画館が開けば、観客は戻ってくるということが証明されたばかりなのである。