中国ワクチン、有効率わずか50% 南米に動揺と失望が広がる
ワクチンへの信頼が揺らぐなか、中国高官が有効率の低さを認めたというニュースが舞い込み、不信はさらに深刻化すると見られる。ブラジル当局は中国シノバック製ワクチンについて、新型コロナの中度および重度の症状を防ぐという意味では78%の有効性があるが、純粋に感染を防ぐという面での有効率は50.4%にまで低下すると認めている。
サンパウロ大学の生化学者であるフェルナンド・レイナック博士は、このような有効率50%のワクチンを仮に全国民に接種したとしても、感染症例がなくなることは期待できないと指摘する。また、ブラジルのある細菌学者は、ワクチンへの信頼が低下することにより、接種率そのものが低下する事態を危惧している。
チリ、1回目の接種が進んだタイミングで感染者数・死者数が急増
同じ南米のチリも接種量の9割をシノバック製に頼るが、こちらも状況は芳しくない。ウォール・ストリート・ジャーナル紙は「中国COVID-19ワクチンの1回接種による保護は限定的、チリで明らかに」と報じている。チリ当局は、有症感染の防止効果は1回接種で16%、2回接種でも67%との推定を発表した。
ワクチン自体の効果の低さに加え、2度目の接種まで効果が限定的だという説明が不十分だったことが災いした。住民の油断を招き、1回目の接種が進んだタイミングと前後してチリ国内の感染者数・死者数は急増する結果となった。
今後中国政府はワクチンの有効性を強化すべく、少なくとも中国国内では、段階接種の一部に他社製ワクチンを導入することを検討している。疾病管理局のフー氏はこれに加え、異なる技術で製造されたワクチンの使用も中国政府内で検討が進んでいると明かした。中国当局は「異なる技術」の詳細を明らかにしていないが、米CDCは、中国側がmRNAワクチンの開発を進めていると見ている。製造元の中国自身さえ、現状を問題視していることの表れだと言えよう。
ただし一部には、現行のシノバック製ワクチンに一定の意義を認める声もある。ブラジルのある住民はワシントン・ポスト紙に対し、「より優れたワクチンがあったとしても、それは、届くことはなかったのだから」と述べている。シノバック製を不信の種と見るか今手に入る希望と見るか、捉え方は分かれそうだ。
Gravitas: Chinese vaccine 'just 50.7%' effective against Brazilian variant