3度目の緊急事態宣言発出へ 日本経済マイナス成長のリスク
改善しない消費マインド、ワクチン接種の遅れも影響
さらに懸念されるのは、実際の消費の抑制のみならず、消費者マインドが悪化することだ。コロナの感染拡大が収まり緊急事態宣言が解除されても、ワクチンの接種が進んでいなければ消費者心理は大きく上向かないとの指摘もある。国内では医療従事者に続き高齢者に対する接種が始まったが、国民全体にいきわたる時期は見えていない。
首相官邸のデータによると、21日時点での接種回数は約235万回。ロイターのデータでは、少なくとも1回のワクチン接種をした人は英国が50%近く、米国は40%以上となっている一方、日本は1%強にとどまる。
消費者マインドの低迷は、幅広い悪影響をもたらし経済成長を腰折れさせる恐れがある。大和証券の末広徹シニアエコノミストは「現在、ワクチン接種の広がりに望みをつなぐ経営者と、度重なる制限措置に心が折れる経営者と分かれる局面。財政支援が弱ければ廃業しようという人も増えそうだ」と指摘する。
東京商工リサーチが1月に公表したデータによると、2020年は約5万7000の企業が休廃業・解散・倒産により市場から消えた。21年は企業倒産1万件、休廃業解散は5万3000─5万5000程度と予想している。
(金子かおり、杉山健太郎 取材協力:木原麗花、梶本哲史、ダニエル・ルーシンク 編集:田中志保)
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