「顔コンドーム」「マスクばか」......ドイツで新型コロナから生まれた新語は1200語
人は名前がないものに対して恐怖や不安を抱くこともあるが、それに名前が付くと恐怖心が和らぐという......LeManna-iStock
<ドイツで、新型コロナ関連で生まれた新語が1200語に上ることが明らかになった。人は名前がないものに対して恐怖や不安を抱くこともあるが、それに名前が付き、それについて会話ができるようになると、恐怖心が和らぐという...... >
「トイレットペーパー・ハムスター」、「顔コンドーム」など個性的な新語も
「ソーシャル・ディスタンス」や「3密」など、新型コロナウイルス感染症の流行を受けて作り出されたり新たな意味が付加された言葉は日本語にも多くあるが、ドイツでは、新型コロナ関連で生まれた新語が1200語に上ることが明らかになった。通常の場合、1年間にドイツで生まれる新語は200語程度とのことから、いかに多いかがうかがえる。
ドイツの研究組織、ライプニッツ協会のドイツ語研究所はこのほど、新型コロナのパンデミックに伴い生まれたドイツ語をまとめ、ウェブサイトで公開した。英ガーディアン紙によると、これらの言葉は、同研究所の研究者3人からなるチームが、報道やソーシャルメディア、その他のインターネット上で使われている言葉を調べて集めたものだ。
ドイツ語は、既存の単語2つ以上を組み合わせて、新しい言葉を作る場合も多い言語だという。例えば、対人距離(ソーシャル・ディスタンス)を取ることを表現するために、Mindestabstandsregelung(最小間隔を意味するMindestabstandと、規制を意味するregelungの複合語で「最小間隔規制」)や、Anderthalbmetergesellschaft(1.5を意味するAnderthalb、メートルを意味するMeter、社会を意味するGesellschaftの複合語で、「1.5メートル社会」)といった言葉が生まれた。
また、英単語から新しい言葉が作られることも少なくない。ドイツの国際公共放送ワシントン・ポスト(DW)によると、例えば「Social-Distancing-Shaming」は、英語がそのままドイツ語になったもので、公共の場で安全な距離を保っていない人を叱る人物を指す言葉だという。
興味深い新単語としては、Zoom(オンラインのビデオ会議システム)のしすぎで疲れた状態のOverzoomed(ズーム疲れ)や、Klopapierhamster(トイレットペーパー・ハムスター、トイレットペーパーをハムスターのように買い溜めする人という意味)などもある。
マスクを意味する言葉も多彩
ベルリン自由大学で言語学を教えるアナトル・ステファノヴィチ教授は米ワシントン・ポスト紙に対し、第2次世界大戦以降で、新型コロナのパンデミックほど劇的かつ急速にドイツ語の語彙を変えたものは、他に思い当たらない、と話した。