ブレグジット後は日本と仲良くなりたいイギリスの事情
“GLOBAL BRITAIN” AND JAPAN

2月にオンラインで行われた日英の2プラス2会合 Franck Robichon-Pool-REUTERS
<アジア太平洋を重視する戦略の柱とみているが、対中政策では大きな温度差もある>
「目立たない外交」が優れた外交ならば、その手本は最近の日英関係かもしれない。以前から固い絆で結ばれてきた両国は、あまりメディアには注目されていないものの、着実にパートナーシップを築いてきた。
いい例が、両国間の巨額の貿易高だ。最近になってブレグジット(イギリスのEU離脱)という不安定要因が加わったが、イギリス側はこれを逆に外交関係を強化する好機にしたいと考えている。
この路線は特に与党・保守党内で支持されており、EU域外の国々にさらに目を向けて真にグローバルな展開を目指す「グローバル・ブリテン」がスローガンとなっている。この構想を実現させるため、イギリスは新たなアジア太平洋戦略の柱として、日本とのより強固な関係構築を目指しているようだ。
昨年10月には、日英間で自由貿易協定が締結された。エリザベス・トラス国際貿易相が「歴史的な瞬間」と評したこの合意は、イギリスにとって日英の協力関係推進の意図をアピールする格好の材料となった。
だがイギリスにとって、この協定の本当の重要性は、包括的かつ先進的TPP協定(CPTPP)加盟を見据えた取り組みだという点だ。イギリスは今年2月、CPTPPへの加盟を正式に申請した。アメリカが同協定への再加盟についてまだ明確な姿勢を示していないことを考えると、イギリスの加盟が承認されればCPTPPが日英中心の取り組みとなる可能性は十分にある。
日英関係は防衛分野でも明らかに進化している。両国はイギリスのEU離脱以降、安全保障面での関係強化を追求してきた。
「D10連合」をめぐる溝の原因
ドミニク・ラーブ英外相は2月、「イギリスのインド太平洋重視」政策において日本が重要な位置にあることを強調。英海軍の空母クイーン・エリザベスは年内に日本の自衛隊との合同演習に参加する予定だ。
合同演習には、もちろん単なる親善にとどまらない意味合いがある。日英両国の首相は2月の電話会談で、海洋の安全保障体制に触れた。詳細は不明だが、東シナ海や南シナ海での中国のプレゼンス拡大を牽制することが、両国の最優先課題となっているようだ。同じく2月に開かれた日英の外務・防衛担当閣僚会合(2プラス2)でも、中国が施行した海警法について意見を交換した。