大麻に厳しい国・フランスで、大麻成分入りのワインが誕生した訳
ところが、厳しい取り決めとは裏腹に、フランスはヨーロッパでもっとも大麻使用の多い国で、時々消費する人は500万人、常習者は90万人を数える。若者への普及率も高い。フランスの麻薬事情を扱う公的機関OFDTが2018年にまとめた調査によれば、17歳の10人に4人(39.1%)が大麻の使用経験を持っている。
医療用、娯楽用ともに合法化への動き
上のような事情から、禁止は抑制にはつながらないという主張が定期的に唱えられ、大麻の合法化は何度も議論に上ってきた。2021年3月1日にも大麻の娯楽的使用の合法化についての世論調査が発表されたところだ。それによれば、80%以上が法規制内での大麻使用を認める案に賛成と答えており、今後何らかの動きにつながると思われる。
また、医療用大麻の使用に関しても、少しずつ進んでおり、今年3月31日から24か月間、大麻の医療使用が試験的に行われることが決まった。対象となるのは、神経障害性疼痛や癌などの重い病を持つ病人約3000人。既存の治療法で効果が見られない場合にのみ大麻が処方される予定となっている。
大麻の解禁は、財政的にも魅力的なものだ。2020年6月オプス誌上に掲載された議員20人ら連名の投稿は、「(大麻の)合法化は、毎年20~28億ユーロの財源を国にもたらし、特に農業に3~8万の雇用を生む」と見積もっている。