サウジ皇太子を記者殺害で「有罪」認定でも制裁できない訳
人権団体はこの決定を非難した。「(皇太子への)制裁回避は、他の犯罪者に対する制裁の信頼性を損なう」と、カショギが殺害直前に設立した「デモクラシー・フォー・ザ・アラブ・ワールド・ナウ」の事務局長サラ・リア・ウィットソンは言う。
バイデンは2月25日、サウジアラビアのサルマン国王と就任後初の電話会談を行った。この事実は同政権がトランプ時代と違い、国家元首である国王との関係を重視することを示唆するものだ(この電話会談でカショギ事件に言及したかどうかは不明)。
元駐イエメン米大使で現在は中東問題研究所の上級副所長を務めるジェラルド・ファイアスタインは、サウジアラビアを罰することと、アラブ諸国とイスラエルとの和平を達成し、イランとの新たな核協定を締結するという目標との間で、バイデン政権はバランスを取る必要があると指摘する。
「サウジアラビアと協力しない限り、目標達成はおぼつかない。この殺人は言語道断の行為であり、なかったことにはできないが、それでも(両国関係を)前進させなければならない――それを明確に打ち出す何らかの案をひねり出すだろう」
イスタンブールの領事館で殺害され、バラバラに切り刻まれたカショギの遺体は今もまだ見つかっていない。
<本誌2021年3月9日号掲載>
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