日本を目指す韓国ネイバー、LINEの個人情報海外流出で厳しい船出に
震災がきっかけで、LINEを開発
ネイバーは設立まもない2000年、日本語検索サービスや日韓翻訳サービスなどを開始した。当時の日本はヤフー・ジャパン、インフォシーク、NTTグループのgooやサービスプロバイダ各社がポータルサイトを運営していた。2001年、米グーグルが日本に進出、2005年にMSNが日本語サービスを開始して収益が伸び悩んだネイバーは日本語サービスを終了した。
ネイバーは2007年、日本に再進出すると発表。「ネイバーまとめ」を開始してライブドアを買収、LINEサービスを開始した。ネイバーの李海珍会長は、2011年3月、東日本大地震の被災者が家族や親戚と連絡を取ろうとする姿を目にした。電話回線がまだ完全には回復していなかった。
李会長は、韓国で普及していたカカオトークを参考にLINEサービス発案。子会社のNHN Japanが開発を担当し、会長自身が日本に滞在して陣頭指揮をとった。日本、韓国、中国、米国などさまざまな国籍者が開発に参加したLINEは日本をはじめ、台湾やタイなどアジアを中心に広まった。
LINEの画像や動画は韓国ネイバーのサーバに保管
韓国ネイバーは、検索サービスやコミュニティ、ショッピング、ニュース、不動産、地図など、生活や仕事で必要なあらゆる情報を提供する。同社が開発した翻訳アプリのPapago(パパゴ)は、18年2月の平昌冬季五輪で韓国警察が公式採用し、五輪後は韓国に居住する外国人や訪韓外国人とのコミュニケーションに使われている。
企業や政治家、芸能人の命運もネイバー次第で、ネイバーニュースに掲載されないメディア社が存続の危機に直面するほど影響力を持っている。
ネイバーが圧倒的なシェアを持つ韓国市場だが、グーグルに移行する人が増えている。ヤフー・ジャパンも米国ヤフーのライセンスで、国外では「ヤフー」以外のブランドが必要となる。2社の思惑が合致して経営統合に繋がった。
LINEの画像や動画は韓国ネイバーのサーバに保管されていることが判明している。筆者が数か月前に会った警察官は、韓国サイバー警察はカカオトークの情報にはアクセスできるが、LINEはアクセスできないと残念そうに話しており、日本人利用者の情報が漏れるなどの被害を受ける可能性は小さいが、Aホールディングスにとって厳しい船出となりそうだ。