最新記事

人種差別

アジア系への暴力や嫌がらせが増加、米女優オリビア・マンら立ち上がる

Olivia Munn Speaks Out Amid Rise in Anti-Asian Attacks: 'We Need to Help"

2021年2月22日(月)17時47分
ニコール・フォラート

アジア系への暴力事件急増に女優オリビア・マンが声を上げた(2020年2月、バニティ・フェア誌主催のパーティーで) Danny Moloshok -REUTERS

<トランプが新型コロナウイルスを「チャイナウイルス」などと呼んで敵意を煽ったせいもあり、アジア系へのヘイトクライム(憎悪犯罪)が増えている。バイデン政権はこれを止めると誓ったが>

アジア系アメリカ人の人気女優オリビア・マンは2月20日、アジア系を狙った暴力事件がアメリカで増加している問題について発言した。

「私たち(アジア系)の社会で何が起きているか、みんなに聞いてもらいたい。理解してもらいたい」とマンはMSNBCのインタビューで語った。「アジア系の人々に対するヘイトクライム(特定の人種に対する憎悪による犯罪)は猛烈な勢いで増えている。私たちが自分の国で安全に暮らすには(みんなの)助けが必要だ。そして私たちに何が起きているか、きちんと伝えてくれる人たちが必要だ」

■MSNBCテレビに出演して助けを求めたマン(右から2番目)

マンはアジア系を標的にした暴力について、ソーシャルメディアで問題提起した。きっかけとなったのは、ニューヨークのクイーンズでパン屋の行列に並んでいたアジア系の友人の母(52)が男に突き倒された事件。容疑者は逮捕され、暴行と嫌がらせの罪で起訴されたとABCニュースは伝えている。

■アジア系というだけで道路に叩きつけられたマンの知人女性

容疑者逮捕の報を受け、マンはこうツイートした。「インターネットは負けない。ありがとう、ありがとう、ありがとう」

中国起源と言われる新型コロナウイルスの流行が始まって以降、アジア系アメリカ人に対する暴行や強盗といった犯罪は急増している。アジア・太平洋諸島系(AAPI)の人々のための組織が集まって結成した「ストップAAPIヘイト」によれば、昨年3〜12月までに目撃報告のあったアジア系に対するヘイト行為は2808件に上ったという。このうち、被害者が60歳を超えるケースは約7%だった。タイム誌は、事件はサンフランシスコとオークランドのチャイナタウンで特に多く発生していると伝えている。

政界では黒人や中南米系との連携も

マンを始めとするセレブたちはソーシャルメディアを使い、社会正義の実現を求めるとともに暴力事件の増加について啓発を行っている。テレビ局KPIX5によれば、オークランドのチャイナタウンで最近起きた3人のアジア系住民に対する襲撃事件を巡り、俳優のダニエル・ダッド・キムとダニエル・ウーは容疑者につながる情報提供に2万5000ドルの懸賞金を出すと明らかにした。

全米レベルでこの問題に対処するため、アジア系とアフリカ系の連携も始まった。ナンシー・ペロシ下院議長は19日(第2次大戦中に日系人の強制収容につながる大統領令が署名された日だ)、アジア系、黒人、中南米系の議員団の代表者らとともに記者会見し、アジア系への暴力事件の増加を非難した。

「AAPIの人々は、目下の新型コロナウイルスのパンデミックや経済危機のみならず、自分たちのコミュニティに対する偏狭な攻撃の脅威に直面している。受け入れがたい不当な状況だ」とペロシは述べた。「こうした暴力のまん延は、わが国の良心に対する挑戦だ。民主党が多数派を占める連邦議会はこれと戦い、対抗し、終止符を打つ取り組みを行っている」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イスラエル首相らに逮捕状、ICC ガザで戦争犯罪容

ビジネス

米中古住宅販売、10月は3.4%増の396万戸 

ビジネス

貿易分断化、世界経済の生産に「相当な」損失=ECB

ビジネス

米新規失業保険申請は6000件減の21.3万件、4
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 2
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱が抜け落ちたサービスの行く末は?
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 5
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 6
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 7
    ウクライナ軍、ロシア領内の兵器庫攻撃に「ATACMSを…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    若者を追い込む少子化社会、日本・韓国で強まる閉塞感
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 7
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 8
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 9
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 10
    中国富裕層の日本移住が増える訳......日本の医療制…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中