バイデンは戦争回避のためイラン核合意に復帰せよ(元米当局者)
Biden Must Rejoin Iran Nuclear Deal To Avoid War, Former Officials Say
公開書簡では、トランプの戦略は「アメリカの安全保障に深刻な悪影響を与えることが証明された」とし、そのアプローチは「外交の否定であり、内容のないけんか腰の言葉への依存」だったと分析。「米軍や地域の同盟国に対する攻撃を増加させ、中東における紛争の可能性を増大させた」と断じた。
トランプはイランに対する軍事行動の拡大を繰り返しちらつかせた。ソレイマニの暗殺の後には、イラン国内の文化財に対する広範な爆撃作戦の可能性にまで触れた(戦争犯罪に該当する行為だ)。
軍事の専門家からは以前から、イランとの間で紛争が起きる可能性が指摘されていた。そんな事態になれば大きな財政負担になるとともに、アメリカ人や一般市民が相当数、犠牲になるのも避けられない。
「イランと戦争になれば本当にひどいことになるだろう。アメリカが勝利することに疑う余地はなくとも、イランとの武力紛争は受け入れがたい負担をアメリカにもたらし、最終的にアメリカの安全保障が後退する」
「われわれは早急に路線変更しなければならない。まずは核合意への復帰からだ。政策決定に携わる人々には、イランとアメリカの双方が核合意の遵守に戻るよう、素早い行動を求めたい」
保守派が力を増すイラン国内の政治状況
バイデン政権はこれまでも、核合意は弾道ミサイルや周辺国における代理戦争といった問題もカバーする「さらに長期的で強力な」交渉の土台になるとして、復帰反対派の懸念を鎮めるよう努めてきた。
一方イラン政府は繰り返し、もともとの核合意に含まれていない事項について交渉するつもりはないとの姿勢を示している。穏健派のハサン・ロウハニ大統領は、核合意に戻るには国内の反対を乗り越えなければならない。
ロウハニの任期はこの夏に終わる。次期大統領の座に就くのは保守派(たぶん革命防衛隊出身者)になる可能性が高い。また、ロウハニ政権の前には、昨年の選挙で圧勝した保守派が多数を占める国会が立ちはだかる。保守派はロウハニや主要閣僚らの落ち度があればその責任を問おうと手ぐすねを引いている。
ソレイマニ暗殺からちょうど1年を迎えた今年1月には、ザリフ外相が、アメリカに交渉を申し出たとして保守派の怒りを買い、国会で激しい非難を浴びている。