右派SNSパーラーのネット復帰のウラに怪しいロシア企業
What Is DDos-Guard? Parler Website Back Thanks to Russian Tech Company
パーラーのアイコン(写真の赤いアイコン)はスマホのアプリストアからも削除された BackyardProduction/iStock.
<追放されたアメリカの右派サイトのネット復帰を手助けしたのは、極右、人種差別主義者、過激派などとつながりのあるロシアのテック企業だった>
「言論の自由」を信奉し、「検閲」がないため極右や陰謀論者のお気に入りだったSNS「パーラー」は1月18日、部分的にインターネットに復帰した。どうやらこの復帰には、「DDoSガード」というロシア人所有のホスティングおよびウェブセキュリティ会社が手を貸しているようだ。
パーラーのサイトは、1月11日から接続できない状態になっていた。米連邦議会議事堂の襲撃事件が起こった後、取引先のテック系企業から、ヘイトスピーチやニセ情報の投稿に対する規制が不適切だとして排除された。ツイッター、フェイスブックからアカウントを閉鎖されたほか、「アマゾン・ウェブ・サービス」(AWS)はホスティングを停止、アップルとグーグルもパーラーのアプリを削除した。
そのため、パーラーのURL上に1月16日、ジョン・マッツェ最高経営責任者(CEO)がユーザーに対して「じきに復帰する」と請けあうメッセージが現れた時、事情はすぐにはわからなかった。その上マッツェはFOXニュースに対し、パーラーのホスティングが1月末までに復活できることに「自信を持っている」と語った。
レジストリ記録を見るかぎり、パーラーの使用するインターネットプロトコル(IP)アドレスは、DDoSガードという会社のもののようだ。複数のロシア人が所有するこの会社は英国で登記されており、ホスティングのほか、分散型サービス拒否(DDoS)と呼ばれるサイバー攻撃に対する保護などのサービスを提供している。
DDoSとは、さまざまなソースを起点とするトラフィックによってウェブサイトに過剰な負荷をかけ、一時的に接続不能に陥らせるタイプのサイバー攻撃だ。
極右や人種差別主義者とつながり
ロイターも報じているように、この会社は少なくとも2人のロシア人が株主と見られ、極右、人種差別主義者、過激派などのウェブサイトとつながりがある。そのうちのひとつである掲示板「8kun」(旧称「8chan」)は、Qアノンの陰謀論の拠点となり、2019年にテキサス州エルパソで起きた銃乱射事件などの白人至上主義者による攻撃の際も利用されていた。
議会襲撃事件後、DDoSガードはガーディアン紙に対し、8kunのホスティング会社であるワシントン州のバンワ・テック(VanwaTech)との関係を打ち切ったと述べていた。同紙によれば8kunは2020年10月から、DDoSガードのDDoS保護サービスを利用していたという。
DDoSガードのQアノンや8chanとのつながりを最初に報じたのは、サイバーセキュリティに詳しいジャーナリストのブライアン・クレブスだ。クレブスは、DDoSガードが、テロ組織「ハマス」の公式サイトをホスティングしているとも伝えていた。ロシアのビジネス・IT専門メディア「ティアドバイザー(TAdviser)」によれば、ロシア国防省にサービスを提供していたこともあるようだ。