トランプ支持する極右「プラウド・ボーイズ」リーダー、麻薬取引などの捜査協力者だった
公判ではFBI捜査官1人も、タリオ氏がマリフアナ、コカイン、MDMAといった薬物犯罪捜査で「重要な構成要素」だったと明言した。
それ以降もタリオ氏と当局の協力関係が続いていたという証拠はない。ロイターが何度も取材した限りでは、タリオ氏はプラウド・ボーイズの集会を各地で開く前には、警察に計画を知らせていたと述べているが、事実かどうかは不明。同氏によると、ワシントンの警察が同団体の取り締まりに乗り出した昨年12月12日以後は、そうした協調姿勢をやめた。
タリオ氏は26日の取材で、詐欺罪の判決で刑期が30カ月から16カ月に減ったことは認めつつも、あくまで詐欺事件を巡る数々の疑問を当局が「片付ける」のを自分と他の被告が手伝ったためだとし、別の事件には決して協力していないと主張した。
とはいえ14年の公判記録には、検事や弁護士、FBI捜査官だけでなく担当判事までも、タリオ氏が他の刑事事件捜査での容疑者訴追で「相当な支援」をしたと結論付けていることが明記されている。
トランプ氏の支持者は大統領選敗北に異を唱え、全米でしばしば暴力的なデモを展開してきた。その中でもタリオ氏は、ほぼ白人だけのプラウド・ボーイズのグループを率いて、ワシントンからポートランド、オレゴンに至る各地で、街頭での衝突や口論騒ぎで先頭に立って派手に闊歩する姿が目立っていた。
トランプの呼びかけで一躍有名に
この団体は16年、「政治的公正さ」に抗議し、「男らしさの誇示を制限する風潮」に反発するために誕生。メンバーはやがて、街頭での抗争に備えて黒と黄の独特のユニフォームを着た集団になった。彼らを大きく有名にしたのが、昨年9月のトランプ大統領(当時)による呼び掛け、「プラウド・ボーイズよ、下がって待機せよ」のフレーズだ。マイアミに住むタリオ氏は、18年にプラウド・ボーイズの全国委員長に就任した。
タリオ氏はトランプ氏の選挙敗北後、昨年11月と12月にメンバーを率いてワシントンをデモ行進した。12月11日の映像には、大群衆の前でメガホンを手に「議会と盗まれたホワイトハウスにいる寄生者どもよ、お前たちは戦争を望み、それを手に入れたのだ」とタリオ氏が声高に演説し、歓声が上がる光景が映っている。その次の日に同氏はBLMの旗を燃やした。
元検事のジョアンズ氏は、かつて詐欺罪で訴追した被告が今、バイデン氏の大統領選勝利認定を阻止しようとした暴動での重要人物になっていることには、驚くしかないと話す。「彼が詐欺師であることは分かっていたが、まさか国内でテロを起こす男だとは、知るよしもなかった」とあっけにとられた様子だった。
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