ナワリヌイ釈放要求デモはロシアをどう変えたか
Alexei Navalny Inspires Big Anti-Putin Protests, but No Russian Spring—Yet
ナワリヌイの今後の課題は、より保守的な強い地方での支持を獲得することだ。彼とその支持者たちはこれまでも、地方への働きかけを行ってきており、実際ナワリヌイは毒を盛られる直前にも、シベリアで市議選の候補者の応援をしていた。今後もそうした活動を続けていく必要がある。
多くの有識者は、ナワリヌイの暗殺未遂と帰国後の身柄拘束は、プーチンがナワリヌイをどれだけ恐れているかを物語っていると指摘する。ナワリヌイの陣営は彼が拘束された後も、黒海沿岸にプーチンが所有する、資産価値13億ドル相当の豪邸の暴露動画を投稿した。この動画はこれまでに8600万回以上、視聴されている。
ガレオッティは、プーチンが過去にナワリヌイをヴォルデモート(名前を口にするのも恐ろしい存在)扱いしたことについて、「反体制派の指導者がプーチンの中で『名前を言うのも恐ろしい存在』になってしまったことには大きな意味がある」と指摘した上で、「それでも、もっと重要なのは、ナワリヌイが象徴しているものだ」
旧世代と新世代の対決
観測筋は長年「プーチン後」について議論してきた。現在68歳のプーチンは、後進に道を譲るための枠組みづくりをしていく意向を公言してきた。しかし彼が、長く維持してきた権力を手放すと本気で考える者はほとんどいない。
2024年に大統領の任期を終えた後、プーチンが別の役職に就いて大統領の座を後継者に譲る可能性はある。あるいは巧みに画策し、大統領としてではなくても別の立場から、ロシアの統治を続ける可能性もある。
どちらにせよ、ロシア国内でナワリヌイの運動に対する支持が高まっている事実は、ロシアに「それとは別の未来」の選択肢を提示するものだ。ナワリヌイは、過去の一部の発言から外国人嫌い(あるいは人種差別主義者)と見なされてはいるものの、今よりリベラルで民主的で、より近代的なロシアを象徴している。
「これは44歳と68歳の対決だ」とガレオッティは言う。「別の言い方をすれば、ポスト・ソビエト世代の政治家が初めて、ソビエト時代を象徴する最後の世代に勝負を挑んでいるのだ」