最新記事

アメリカ政治

バイデン、大統領就任直後に出す大統領令や政策まとめ

2021年1月20日(水)18時35分

バイデン次期米大統領は就任後の数日間で何十本もの大統領令に署名し、包括的な法案も議会に送る計画だ。写真はバイデン氏。昨年7月にデラウェア州ウィルミントンで撮影(2021年 ロイター/Leah Millis)

バイデン次期米大統領は就任後の数日間で何十本もの大統領令に署名し、包括的な法案も議会に送る計画だ。移民や気候変動についてのトランプ大統領の肝いりの政策の一部を覆すと同時に、新型コロナ危機への米政府対応を強化する狙いだ。

想定される措置を次に挙げる。バイデン氏のアドバイザー何人かへのインタビューや大統領選公約の内容、クレイン次期大統領首席補佐官の最近のメモに基づいてまとめた。

新型コロナ

・新型コロナウイルスワクチンの配布加速とコロナで打撃を受けた国民向けの経済対策として1兆9000億ドルの支出を提案。

・すべての連邦政府の施設内や、航空機やバスでのマスク着用の義務化。

・連邦の学生ローンの返済猶予と家賃未払いによる立ち退き猶予の延長。

・学校と企業の安全な再開、コロナウイルス検査の拡充、公衆衛生基準の明確化のための大統領令署名。

・危機に直撃されている勤労世帯を直ちに経済支援するよう連邦機関に指示。

・米世界保健機関(WHO)への復帰。トランプ氏はWHOがコロナ大流行を適切な監督に失敗したとして、脱退を宣言した。

気候変動

・地球温暖化対策の枠組み「パリ協定」への復帰。トランプ氏は2016年にパリ協定離脱を表明し、20年11月に離脱が発効した。

・トランプ氏が無効にした新規ないし既存の石油・ガス事業へのメタン規制の復活。

・連邦調達制度に基づき、年5000億ドルを支出し、産業界などのクリーンエネルギーへの依存を向上させ、排出量が実質ゼロの自動車を購入。

・北極圏野生生物保護区を含む公的な土地と水資源について、新たな石油とガス掘削許可を禁止。

・カナダから米国への石油輸送プロジェクト「キーストーンXLパイプライン」の認可を取り下げ。

移民

・一部のイスラム圏国家からのほぼ全面的な入国禁止を取りやめ。

・米国で暮らす不法移民の合法化を可能にする移民改革法案の議会提出。

・幼少期に米国に連れてこられて不法移民となった、いわゆる「ドリーマー」の滞在を認める措置を復活。

・国境で移民の親と子どもを引き離すトランプ氏の政策を転換。軽微な移民法違反で親を摘発するのをやめ、今もなお家族と引き離されたままの子どもたちを捜すなどし、家族と一緒にさせることを優先する。

・トランプ氏の制限的な難民受け入れ政策を転換。メキシコやグアテマラを通過する人々への追加的な規制、ギャングや家庭内暴力の被害者への難民認定阻止などが対象になる。

・メキシコ国境の壁建設費用として国防総省予算を連邦予算に転用することを認めるトランプ氏の国家非常事態宣言を解除。

・暴力や自然災害によって母国で安全に暮らせない人々に対する「一時保護資格」の現状運用を早急に見直すよう命令。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・議会突入の「戦犯」は誰なのか? トランプと一族、取り巻きたちの全内幕
・新型コロナが重症化してしまう人に不足していた「ビタミン」の正体
→→→【2021年最新 証券会社ランキング】



今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米石油・ガス掘削リグ稼働数、22年1月以来の低水準

ワールド

アングル:コロナの次は熱波、比で再びオンライン授業

ワールド

アングル:五輪前に取り締まり強化、人であふれかえる

ビジネス

訂正-米金利先物、9月利下げ確率約78%に上昇 雇
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS攻撃「直撃の瞬間」映像をウクライナ側が公開

  • 2

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 3

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 4

    サプリ常用は要注意、健康的な睡眠を助ける「就寝前…

  • 5

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 6

    「TSMC創業者」モリス・チャンが、IBM工場の買収を視…

  • 7

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 8

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 9

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 10

    元ファーストレディの「知っている人」発言...メーガ…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる4択クイズ

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 6

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 7

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 10

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中