「#ジョンインちゃん、ごめんね」 養父母による虐待死に国民が涙、BTSとARMYも追悼
13日に行われた初公判では裁判所前に多くの市民が集まり、ジョンインちゃんの養父母へ殺人罪の適用を訴えた。YonhapnewsTV / YouTube
<韓国社会に潜む闇に多くの国民が涙し、追悼の声は世界にも広がった>
昨年末、厚生労働省が発表した「2019年度児童相談所が対応した18歳未満の子どもへの虐待件数」は、19万3780件と過去最多だったという。日本でも度々ニュースとなる子供の虐待問題だが、今韓国では生後16カ月でその小さな命に幕を閉じたジョンインちゃんの死に悲しみの声が寄せられている。
ジョンインちゃんは、2019年6月10日に生まれた。実の両親に事情があり里子へ出され、7カ月間保護施設で暮らした後、里親の元で新しい生活が始まった。
養父は放送局に勤め、養母は翻訳などを仕事にしており、自身も里子として育てられた経験があったという。そのため、既に実子の娘が一人いたが、いつか里子を迎えたいと準備していたという。
第二の人生を里親の元で幸せに暮らしていたと思われていたジョンインちゃんだったが、実際にはその数カ月間は地獄のような暮らしだった。そして無念にも昨年10月13日、虐待により短い一生を終えてしまった。
何ヶ月もの虐待で腹部に血が溜まっていた
亡くなる際に搬送された病院でのCT写真では、膵臓と腸間膜小腸の破損ですでに内臓は血でいっぱいになっていたそうだ。骨にも骨折やヒビが見つかり何カ月にもわたって虐待された跡が残っていた。
ジョンインちゃん死亡の21日後、警察は解剖結果を元に児童虐待容疑で里親を拘束した。この頃から韓国内のニュースなどでも大きく報道され始め、虐待をした里親に世間から非難が降り注いだ。
里親は、ジョンインちゃんが食事を取らなかったことを理由に、「しつけのため抱き上げ、叱っている途中に事故で落としまい、横にあった椅子に腹部をぶつけた」と主張しているが、死亡原因の一つでもある膵臓は奥側にあり、母親の身長から計算しても破裂を起こすまでの損傷には無理がある。
保育園などの通報にも十分な対応取られず
もちろん、ジョンインちゃんの虐待について異常を察知した大人たちもいた。ジョンインちゃんと、長女が預けられていた保育所の先生たちは、度々増えるあざや傷を発見するたびに写真に撮って通報し、その後ジョンインちゃんを診察した小児科の医師も虐待の可能性があるため、里親と引き離すよう指示した。
ところが3度にわたる申告があったにもかかわらず、初めの2度の申告を担当した7人の警察官は里親に注意/警告のみで済まし、3度目の申告を受けた警察官5名にいたってはことの重大さを察知することが出来ず放置していたという。
この不祥事について警察批判が高まり、キム・チャンリョン警察庁長官は6日、会見を開きジョンインちゃんの冥福を祈るとともに国民に対し謝罪する事態となった。
そして、ついに1月13日ソウル南部地裁にて里親に対する初公判が行われた。裁判所には怒りをあらわにした韓国民たちが大勢集まった。なかには「死刑判決を!」というプラカードを持った人びともいたという。傍聴券51席を求める希望者は813名にものぼり、裁判所は急遽、別の法廷を開放しスクリーン中継を行ったという。