最新記事

韓流ドラマ

大人気ドラマの世界を再現した「愛の不時着展」に行ってみた!

2021年1月8日(金)16時30分
大橋 希(本誌記者)

エピソードごとに場面写真や映像などが展示されている「愛の不時着展」 (C)CultureDepot. (C)STUDIO DRAGON CORP

<韓国財閥令嬢と北朝鮮軍人の恋を描くヒットドラマ『愛の不時着』の展示会では、数々の写真や映像、小道具が見られるが......>

日本のNetflixで配信開始されたのが昨年の2月下旬。10カ月以上たっても、いまだに根強い人気があるのが韓国ドラマ『愛の不時着』だ。今月初めに主演2人の熱愛報道が出たためか、再びNetflixの視聴ランキング「今日の総合トップ10」で1位に浮上している(1月8日現在)。

韓国の財閥令嬢でアパレルブランド社長のユン・セリ(ソン・イェジン)と、北朝鮮の軍人リ・ジョンヒョク(ヒョンビン)の恋を描くこのドラマの世界を再現した「愛の不時着展」が東京・原宿のjingで始まった(1月8日~2月27日開催の東京を皮切りに大阪、福岡、名古屋を巡回予定)。7日にはプレス向け内覧会が行われたので、足を運んでみた。

fujichaku01.jpg

第1話の出会いの場面を再現 (C)CultureDepot. (C)STUDIO DRAGON CORP

これは日本オリジナルの企画で、いわば「世界初」の展示会。未公開写真を含む450点以上の写真のほか、ドラマで使用した衣装や小道具が展示されている。ユン・セリとリ・ジョンヒョクの愛の始まりを象徴する木にからまったパラグライダー(撮影で使われた実物)や、ジョンヒョクの家のリビング(カーテン、カーペット、テーブル、ガラス扉付きの棚は実物)、2人が乗った自転車を見ると、さまざまな場面が頭の中によみがえってくる。ジョンヒョクが湖畔で弾いたピアノを日本まで運んできたのも素晴らしい(駅ピアノのように演奏可能なら、なおよかったが)。衣装からは登場人物の姿をリアルに感じられるし、本編映像のほかメイキング映像も流れ、ドラマのファンは存分に楽しめるだろう。

fujichaku03.jpg

ジョンヒョクの家のリビング。セリがビール缶で作った「北緯38度線」も (C)CultureDepot. (C)STUDIO DRAGON CORP

南北分断の解説や資料があれば......

だが、「解説」が少ないことにもったいなさを感じた。『愛の不時着』の魅力は障壁のある恋、韓国財閥一家の愛憎劇、北朝鮮という国家がからむサスペンスなどいろいろあるが、特に新鮮だったのは、脚色はあるにせよ北朝鮮の市民生活が伝わってくるところ。そして「統一したら」というセリフがたびたび登場し強い印象を残したように、テーマの1つは南北問題だ。

fujichaku05.jpg

セリとジョンヒョクをリアルに感じる (C)CultureDepot. (C)STUDIO DRAGON CORP

朝鮮戦争に出兵した息子の無事を祈った痕跡が残る廃屋、北朝鮮の名物料理であるハマグリのガソリン焼き、北朝鮮の病院での輸血、軍事境界線での別れ......そうした場面の背景にある現状や南北分断の歴史的経緯がきちんと分かる解説や資料があれば、さらによかったのにと思う。NHKの大河ドラマ展などと比べるのは酷かもしれないが、深さが感じられない。

ドラマを最終回まで見終わった後の「愛の不時着ロス」という言葉も生まれたほどだが、実際にはNetflixに加入していれば何度でも視聴し、ドラマの世界に浸ることはできる。メイキング映像もYoutubeで見られる。厳密にいえば、「ロス」にはならない。せっかくなら物を展示するだけでなく、フィクションとリアルの橋渡しをし、ドラマの世界をさらに広げてくれる仕掛けがほしかった。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏とゼレンスキー氏が「非常に生産的な」協議

ワールド

ローマ教皇の葬儀、20万人が最後の別れ トランプ氏

ビジネス

豊田織機が非上場化を検討、トヨタやグループ企業が出

ビジネス

日産、武漢工場の生産25年度中にも終了 中国事業の
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは? いずれ中国共産党を脅かす可能性も
  • 3
    トランプ政権の悪評が直撃、各国がアメリカへの渡航勧告を強化
  • 4
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 5
    アメリカ鉄鋼産業の復活へ...鍵はトランプ関税ではな…
  • 6
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 7
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 8
    ロシア武器庫が爆発、巨大な火の玉が吹き上がる...ロ…
  • 9
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 10
    関税ショックのベトナムすらアメリカ寄りに...南シナ…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 3
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 4
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 8
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 9
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 10
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 6
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 7
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中