最重要課題なのに「気候変動対策」の米中協力がこんなに難しいワケ
CHINA’S GREEN GAMBIT
この2本柱の戦略はバイデンを苦しめる。国際社会が失望するような気候変動対策では、中国のほうが責任ある大国のような印象を与える。野心的な目標を掲げれば、共和党が議会や法廷で関連政策を妨害し不信感をあおるはずだ。今は無理でも2025年に共和党政権(ひょっとすると第2次トランプ政権)が廃止してしまう可能性はある。
一方、アメリカの超党派の反中感情を思えば、バイデンは関税や技術移転で小さな譲歩もできない可能性があり、人権侵害問題でも習と対峙せざるを得ないだろう。中国もバイデンが言質を与えない限り新たな取り組みはしないと強硬に主張しかねない。
そうした膠着状態はアメリカの国際的地位を相対的に低下させる。だがこのシナリオが最悪なのは気候変動対策の観点からだ。バイデン政権は何としてもこれを阻止しなくてはならない。
<本誌2021年1月12日号掲載>

アマゾンに飛びます
2025年2月25日号(2月18日発売)は「ウクライナが停戦する日」特集。プーチンとゼレンスキーがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争は本当に終わるのか
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら