最新記事

日本社会

菅首相、今週内にも緊急事態宣言を発令か 首都圏では独自対策も

2021年1月4日(月)21時30分

複数の国内メディアによると、菅義偉首相は新型コロナウイルスの感染急拡大を受け、東京都など1都3県に緊急事態宣言を発令する方向で検討に入った。都内で2020年12月撮影(2021年 ロイター/Issei Kato)

菅義偉首相は4日、新型コロナウイルス感染者数が急増する首都圏の1都3県を対象に、緊急事態宣言の再発令を検討する考えを表明した。複数の国内メディアは、今週中にも宣言を出す方向と報道。共同通信によると、9日から1カ月程度を軸に調整している。一方、1都3県は8日以降、夜間の外出自粛を住民に呼びかけることを決めた。

菅首相は4日午前の年頭会見で、新型コロナの感染状況について、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県の1都3県が特に深刻だと指摘。飲食時の感染リスクが高いとした上で「(緊急事態宣言を)限定的、集中的に行うことが効果的だと思っている」と語った。同日夜に出演したテレビ番組では、念頭にある対象地域を1都3県とし、全国へ拡大することには消極的な姿勢を示した。

会見でもテレビ番組でも具体的な発出時期には言及しなかったものの、複数の国内メディア報道によると、政府は週内にも緊急事態宣言の発出を諮問委員会に諮る。昨春実施した小中学校の一斉休校は検討せず、まもなく始まる大学入試も感染防止策を講じて行う方向だ。

政府とは別に、1都3県は8日から今月末まで、午後8時以降の不要不急の外出自粛を住民に呼びかけることを決めた。また、酒類を提供する飲食店に対しては8日から、すべての飲食店に対しては12日から、午後8時までの営業時間短縮を要請する。

首都圏1都3県の知事は2日に西村康稔経済再生相と会い、発出を速やかに検討するよう要請していた。西村氏はその際、飲食店の閉店時間を前倒しするよう知事らに求めるとともに、時短営業に協力する店舗に都や県が支払う協力金を支援するため、地方交付金の拡充を検討する考えを示していた。

小池百合子都知事は4日、菅首相の会見を受け、「早速対応いただいたと考えている。ポイントはスピード、それと実効性」と記者団にコメント。宣言の発出に備え、準備を進める考えを示した。

年頭会見で菅首相は、緊急事態宣言の効果をより高めるため今月18日に召集予定の通常国会にコロナ対策特別措置法の改正案を提出する考えも示した。営業時間を短縮した飲食店などへの給付金と、違反した場合の罰則をセットで盛り込む方向だ。

緊急事態を実際に宣言すれば、7都府県に出した昨年4月7日以来となる。昨春は発出後に対象地域を全都道府県に拡大し、5月下旬までに順次解除した。菅首相は、再宣言となった場合は今月11日まで全国一斉に停止している観光需要喚起策「GoToトラベル」の再開は難しいとの認識を示した。

*内容を追加しました。

(山口貴也、中川泉、田中志保 編集:青山敦子、久保信博)

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・新型コロナが重症化してしまう人に不足していた「ビタミン」の正体
・世界の引っ越したい国人気ランキング、日本は2位、1位は...



20241126issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年11月26日号(11月19日発売)は「超解説 トランプ2.0」特集。電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること。[PLUS]驚きの閣僚リスト/分野別米投資ガイド

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イスラエルがガザ空爆、48時間で120人殺害 パレ

ワールド

大統領への「殺し屋雇った」、フィリピン副大統領発言

ワールド

米農務長官にロリンズ氏、保守系シンクタンク所長

ワールド

COP29、年3000億ドルの途上国支援で合意 不
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 2
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 3
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたまま飛行機が離陸体勢に...窓から女性が撮影した映像にネット震撼
  • 4
    「ダイエット成功」3つの戦略...「食事内容」ではな…
  • 5
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    ロシア西部「弾薬庫」への攻撃で起きたのは、戦争が…
  • 8
    クルスク州のロシア軍司令部をウクライナがミサイル…
  • 9
    「何も見えない」...大雨の日に飛行機を着陸させる「…
  • 10
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 5
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 8
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 7
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 8
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 9
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 10
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中